2023 Fiscal Year Research-status Report
1細胞解像度で紐解く不均質な細菌群集からの亜集団発生
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23K17852
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細川 正人 早稲田大学, 理工学術院, 准教授(任期付) (60722981)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌の遺伝子発現は、同じ実験室条件で培養された集団内でも不均一である。しかし、集団内で、どの細菌がどの遺伝子を発現しており、アクティブな亜集団を形成しているのか?という問いに答える技術はない。これには、「細胞1つあたりの検出遺伝子数(カバレッジ)」と「細胞数(スケール)」を十分に備えた計測が必要である。こで本研究では、カバレッジとスケールの両要求を満たしたロバストで再現性の高い細菌シングルセルRNA-seqを開発し、細菌集団の不均質性解析の標準的な研究法を確立することを目的とした。 本研究で掲げるカバレッジとスケールを備えたscRNA-seqを実現するために、(1)高出力なcDNA増幅、(2)rRNAの排除、(3)万単位の超並列シーケンス対応を計画した。今年度は、高感度なcDNA増幅の基本原理を維持しつつ、rRNAの除去効率を高める反応条件の検討を進めた。対象は大腸菌とした。細菌用プライマー設計によりrRNAを回避したcDNA増幅法に改良したところ、データ改善効果が確認された。ただし、その効果は想定値と比べて十分ではなかったため、プライマー設計以外の反応の別工程の改良を継続している。また、現在はウェルプレートベースで数百単位の並列反応が可能であるが、反応条件の再設計により複数のウェルプレートを実施することで、千単位での並列シーケンスが原理的に可能であると試算された。今後は、rRNA除去率を最適化したcDNA増幅条件にて、大規模なシーケンスデータ取得を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的としていたcDNA中のrRNA除去を目的とした反応の効果を認めた。一方で、その除去率には課題を残しており、条件検討を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
rRNA除去に係る反応プロセスの最適化を進める。最適化したcDNA増幅条件にて大規模なシーケンスデータ取得を予定し、シングルセルトランスクリプトームデータ取得の効率向上効果を評価する。
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