2023 Fiscal Year Research-status Report
remote excitation of fs-Stimulated Raman Scattering
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23K17856
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
雲林院 宏 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (40519352)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | フェムト秒ポンプ・プローブ誘導ラマン散乱 / 探針増強ラマン顕微鏡 / リモート励起 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高い時間分解能を有する「フェムト秒ポンプ・プローブ誘導ラマン散乱(fs-SRS)」と、申請者がこれまで開発してきたAgNWプラズモン導波路を利用した「リモート励起探針増強ラマン顕微鏡(RE-TERS)」を組み合わせるべく、その基礎となる技術である「プラズモン導波路fs-SRS」を確立することを目的とする。2023年度は、申請者がこれまで開発してきたプラズモン導波路である銀ナノワイヤー(AgNW)を導入した新たな探針増強ラマン散乱(TERS)プローブをfs-SRSに適用するため、光カップリング手法について特に研究を進めた。 「課題1:白色プローブ光導波路カップリングと出力解析」2種類の光カップリング法を提案したが、それらの特性評価を行った。(手法1)光反応により、金ナノ粒子(AuNP)をAgNW上任意一に作成し、そのAuNPwo光カップリング点としてフェムト秒白色光による伝搬プラズモン励起を試みたが、金ナノ粒子の光熱効果によりプラズモン導波路が溶融してしまうことが明らかとなった。そのため、提案したもう一つの方法である「(手法2)TwoNWsカップリング」を検証した。プラズモン導波路銀ナノワイヤー(AgNWs)を2本平行に並べた「Parallel AgNWsプローブ」を作成し、光カップリング特性を調べたところ、AgNWが平行に並んでいる箇所に垂直な偏光を有する光であれば、伝搬プラズモンをプラズモン導波路に励起できることが明らかとなった。これをAFMカンチレバーに設置する手法も開発し、「プラズモン導波路fs-SRS」プローブを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フェムト秒レーザー光をプラズモン導波路にカップリングする際の導波路耐久性が初期課題であったが、その部分に関してプラズモン導波路銀ナノワイヤー(AgNWs)を2本平行に並べた「Parallel AgNWsプローブ」の作成方法を確立できたことで第1難関は突破したと言える。ただし、光源であるフェムト秒レーザーの初期不良と修理の遅れにより、「フェムト秒ポンプ・プローブ誘導ラマン散乱(fs-SRS)」部分の構築が遅れていることは否めない。しかし、その他部分を先に進めていくことで、全体の進捗は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、「フェムト秒ポンプ・プローブ誘導ラマン散乱(fs-SRS)」を構築する。フォトニック結晶ファイバーで、フェムト秒白色光を発生させ、それのParallel AgNWs導波路へのカップリング効率、伝搬波長特性などを検証する。その上でラマン散乱ポンプ光を導入したときに、誘導ラマン散乱が誘起されるかを検証する。
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Causes of Carryover |
当初計画していたファイバーデバイスが円安により価格高騰して予算総額内にもおさまならくなってしまったため、計画を変更し、誘導ラマン散乱装置の自作に必要な光学部品を購入した。それにより数万円の誤差が生じた。2024年度は、2023年度残額と2024年分を合算して、フェムト秒レーザー光と白色光を顕微鏡に導入するための光学系部品を購入する。
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