2023 Fiscal Year Research-status Report
DNAナノデバイスの複合化で挑む多応答性ヒドロゲルの創出
Project/Area Number |
23K17860
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鈴木 勇輝 三重大学, 工学研究科, 准教授 (50636066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 佑介 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (60830560)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | DNAナノテクノロジー / DNA液滴 / DNAゲル / ナノデバイス / 刺激応答性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,人工的に設計・構築した複数種の刺激応答性DNAオリガミナノデバイスを複合化し,ゲル化させることで,多機能・多応答性DNAヒドロゲルを構築することを目的としている。分子スケールの素材特性とマクロスケールの物性を,ナノ構造の設計で繋ぐことで,DNAヒドロゲルの階層的かつモジュラーな設計・構築法を確立することを目指す。 研究初年度となる2023年度は,DNAオリガミ法により二種類(pH応答性およびカリウムイオン応答性)のベンディングナノアクチュエータを構築し,それらをさまざまな配向で接続する手法を検討した。二種類の構造の複合化に必要な直交塩基配列を設計し,電気泳動法および原子間力顕微鏡により,多量体形成を評価した。特に,二種のナノアクチュエータを並列的に接続する場合においては,90%に近い収率で二量体から四量体までを階層的に構築することができた。液中原子間力顕微鏡観察により,複合化した多量体構造がpH応答性およびカリウムイオン応答性を有する多重応答性構造であることを確認した。 DNAゲルの構成要素となるDNA分岐モチーフとDNAオリガミを複合化する手法についても検討を進めた.具体的には,あらかじめ三分岐DNAモチーフの自己集合により作製したDNA液滴に対して,その表面を覆うように3次元状のDNAオリガミ構造体を結合させた。共焦点レーザー顕微鏡観察により,DNAオリガミにより被覆されたDNA液滴は,被覆なしの液滴に比べ,液滴同士の融合が抑えられていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度のうちに,二種類のDNAオリガミナノデバイスの複合化の基礎検討を完了することができた。さらに,DNA液滴へのDNAオリガミ構造の導入についても見通しを立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に確立したDNAオリガミデバイスの多量体化手法を発展させ,複数種の刺激応答性DNAナノアクチュエータから成るネットワーク構造の構築を進める。DNA液滴の内部にナノアクチュエータを導入する手法についても検討を進める。
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Causes of Carryover |
主な用途として計上していた合成オリゴヌクレオチドの購入費用について,DNAナノ構造の設計を工夫することで大幅にコストを抑えることができた。また,2023年度は主たる国際会議の開催国が日本であったため,学会発表のための旅費についても支出を抑えることができた。次年度使用額については,研究進捗にともなうDNAナノ構造体のバリエーションの作製や海外における国際会議発表のための費用に充てる。
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Research Products
(7 results)