2023 Fiscal Year Research-status Report
Creation of electromagnetic absorption power generation devices using spin rectification
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23K17875
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水口 将輝 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (50397759)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | スピン流 / 電磁波 / 発電 / 整流効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、持続可能な社会に向けてのさまざまな開発が進められている。その実現のためには、地球環境の保全と開発の共存を見据え、環境に負荷のかからない発展の方法を取り入れる必要がある。われわれは社会空間に分散している電磁波を吸収し、エネルギーへと変換する材料・システムの開発・研究をおこなっている。本研究の目的は、身の回りの環境にあふれ、破棄されている膨大な環境電磁波のエネルギーを吸収し、スピン流の整流効果を利用して単一物質のみで高効率に発電する「環境電波発電素子」を創成することである。スパッタリング法により、磁気異方性が薄膜面内で異なる薄膜の作製を試みた。薄膜の膜厚は10 nm程度とした。磁気光学カー効果により、膜面垂直方向の磁気光学効果を測定し、磁気異方性を評価した。また、薄膜の磁気共鳴の測定を行うことにより、磁気共鳴の周波数を算出した。さらに、薄膜にマイクロ波を照射し、薄膜に接続した端子間の直流電圧を測定することにより、電磁波吸収発電現象の評価を行った。その結果、基板温度の増加に伴い、保磁力の増加が見られ、磁気異方性が増加することが分かった。また、強磁性共鳴の測定により磁気共鳴の周波数も基板温度の変化に応じて変化することが確認された。電圧測定の結果、照射電磁波の周波数に依存した電力変換現象を観測することに成功した。いくつかの異なる周波数の電磁波の照射により電圧変化が見られたが、磁気異方性が薄膜面内で異なる薄膜の方が、単一薄膜と比較して電圧変化量が大きくなる傾向があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気異方性が異なる薄膜の作製と局所強磁性共鳴測定が計画通りに進んでいる。また、マイクロ波照射による電圧の誘起についても観測に成功しており、おおむね順調に研究が進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マイクロ波照射によるスピン整流の実証実験を進める。スピン整流効果の評価を行うためには、実験で得られるパラメータを取り入れた磁化ダイナミクスの計算を行い、実験結果との比較を行うことが必要である。そのため、電磁波への応答を考慮したマイクロマグネティックシミュレーションを行う。また、電磁波の特性とエネルギー変換効率の相関解明を進めることにより、実用的な電磁波吸収発電素子の創成を目指す。
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