2023 Fiscal Year Research-status Report
分子キラリティを導入したファンデルワールス超格子による超伝導ダイオードの創製
Project/Area Number |
23K17876
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
須田 理行 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80585159)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | キラリティ / 非相反超伝導 / 超伝導ダイオード効果 / 遷移金属ダイカルコゲナイド / インターカレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ファンデルワールス層状化合物である遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDs)の層間にキラル分子をインターカレーションすることで空間反転対称性の破れを付与すると同時に、キャリアドーピングによってTMD層を超伝導化し、空間反転対称性の破れた超伝導体の普遍的な化学的設計指針”を提示すること、またこの空間反転対称性の破れた超伝導体における非相反電荷輸送を最適化することで、有限抵抗とゼロ抵抗の切り替えが可能な超伝導ダイオードを実現することを目的としている。 本年度は、MoTe2に電気化学的インタカレーション法を用いてキラルイオン液体を層間に挿入し、キラルMoTe2を合成した。キラルMoTe2の超伝導転移が3.0 K以下で観測され、転移温度以下において、ACロックイン法による2ωから非相反超伝導状態を観測することに成功した。以上の結果は、3次元アキラル金属である1T-MoTe2へのキラル分子挿入によって、2次元キラル超伝導体が得られたことを示しており、本手法がキラル超伝導体創製の普遍的手法となり得ることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、MoTe2に電気化学的インタカレーション法を用いてキラルイオン液体を層間に挿入し、キラルMoTe2を合成した。キラルMoTe2の超伝導転移が3.0 K以下で観測され、転移温度以下において、ACロックイン法による2ωから非相反超伝導状態を観測することに成功した。以上の結果は、3次元アキラル金属である1T-MoTe2へのキラル分子挿入によって、2次元キラル超伝導体が得られたことを示しており、本手法がキラル超伝導体創製の普遍的手法となり得ることを示している。 研究の最終目的である超伝導ダイオード効果は観測できていないものの、その兆候となる非相反超伝導の観測に成功しており、研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終目的である超伝導ダイオード効果の観測を目指し、母体となる遷移金属ダイカルコゲナイド、挿入するキラル分子の構造を最適化し、非相反性の増強を目指す。
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Causes of Carryover |
世界的な半導体不足の影響によって、本年度に調達予定であった微細加工用レーザー発振器が令和6年度の納品となるため、次年度へと繰り越すこととした。
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Research Products
(14 results)