2023 Fiscal Year Research-status Report
Ammonia production by reduction of nitrogen oxides: Utilization of "reductive actions of ionizing radiations"
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23K17893
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 真一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20511489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室屋 裕佐 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40334320)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 放射線 / ラジカル / アンモニア / NOx / パルスラジオリシス / スパー内反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の3項目に取り組んだ。 (1) 初期過程における短寿命ラジカルの反応の直接観測(パルスラジオリシス実験):水分解生成物のうち1ピコ秒以内にできる初期生成ラジカル(水和電子およびOHラジカル)と窒素酸化物(NO3-,NO2-)や添加する有機物(HCOO-)との反応の観測をパルスラジオリシス法により行った。報告されている反応測定度定数が概ね正しいことを確認したほか、概ねマイクロ秒以内にNO3-がNO2まで還元されている可能性が高いことが確認できた。 (2) シミュレーションによる条件の検討:実験と補完的に用いるシミュレーションのため、Facsimileコードの整備を始めた。構築済みである純水(溶質がない場合)での放射線分解コードを整理し、窒素酸化物をはじめとする窒素含有化学種の化学反応の導入を検討し始めた。定常照射を模擬したシミュレーションだけでなく、初期過程の特徴を含めたスパー内反応シミュレーションも実施した。 (3) アンモニアをはじめとする最終生成物の測定:アンモニアの簡便な検出手法であるインドフェノール青吸光光度法を用い、X線照射装置(管電圧 160 kV, 管電流 3.0 mA)で定常照射を行った際のアンモニア検出を試みた。当該装置では線量率が低く、アンモニア生成を確認できたなかった。そこで、QST高崎研のCo-60ガンマ線照射施設を利用し、さらに高い吸収線量で照射を行った結果、アンモニアの生成と思われる発色が確認できた。インドフェノール青吸光光度法によるアンモニア検出を確認するために今後用いる手法についても検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
X線照射装置での線量率が不十分であったことは想定内であり、バックアップとして準備を進めていたQST高崎でのガンマ線照射を行うことができた。今後も着実に計画を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して上記3項目に取り組む。概ね当初の計画通り以下のように推進する。 (1) 初期過程における短寿命ラジカルの反応の直接観測(パルスラジオリシス実験):マイクロ秒以内の初期反応は観測できたため、今後はその後に起こる比較的遅い反応の観測をお行う。 (2) シミュレーションによる条件の検討:窒素酸化物をはじめとする窒素含有化学種の化学反応の導入を進めるとともに、添加を予定しているギ酸イオンやそこから派生する炭素含有化学種の導入の検討を始める。 (3) アンモニアをはじめとする最終生成物の測定:アンモニアの簡便な検出手法であるインドフェノール青吸光光度法は必ずしもアンモニアだけを検出できているかは不明である。そこで、イオンクロマトグラフィを用いてアンモニア(アンモニウムイオン)が本当にできているかどうかを調べる。
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Causes of Carryover |
アンモニア検出法の改良において、分光分析を高感度化することとイオンクロマトグラフィを導入することの準備に時間がかかり、想定していた物品(消耗品)購入が間に合わなかったため。
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