2023 Fiscal Year Research-status Report
新規脱離基活性化法によるキラル第3級アルコールの立体反転戦略
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23K17921
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
重久 浩樹 武蔵野大学, 薬学部, 講師 (60612471)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
脱離基は有機反応機構を思考するための重要な基本概念である.ヒドロキシ基を脱離させる場合はその脱離能が乏しいために通常は「酸触媒による活性化」「ハロゲンやスルホニル基への変換」「光延反応(酸化還元系)」などが行われる.本研究ではこれまでとは全く異なる脱離基活性化法を提案する.具体的には、通常時に安定なアルケニルエステルを「応募者が独自に見出したコバルト触媒反応」によって活性化し、強力な脱離基へ変換することによって求核置換反応へ導く.特に本研究では挑戦的な化学変換として第3級アルコールの立体反転を目指す. 有機化学の教科書によると、SN2反応(二分子求核置換反応)は1級及び2級の原料(ハロゲン化物等)に対してのみ進行すると書かれている.特にキラルな2級の求電子的炭素の場合は求核剤による選択的な背面攻撃によってきれいな立体反転が起きる.一方、それが3級の場合は立体的な要因によってSN1反応が優先され、結果的にラセミ体を与えるというのが一般的な説明である.したがって、キラル第3級アルコールの立体反転は有機化学の分野において今でも十分に挑戦的な課題である. 我々はこの問題に対して遷移金属触媒反応を利用して課題解決を行う。デザインした脱離基は当該触媒反応によって選択的に活性化されることが予備実験から分かっているが、条件最適なを行っている状況であり、立体反転には至っていない。同時に量子化学計算を同時に進めており、基盤技術としてAFIR法の習得を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、類似の触媒反応における研究から本課題に対して有用な知見を得ているものの、成果報告までに計画よりも時間がかかっている。これまでに得た実験結果や量子化学計算の知見を活かして、今後は本課題を円滑に遂行可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在他の反応系から得た反応条件や量子化学計算の知見を、本課題に活かす。立体反転に重要な脱離基や求核剤の選択を慎重に行い課題解決を目指す。
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Causes of Carryover |
現在の進捗状況に記載した通り、類似の触媒反応系の検討に時間を要してことと、共通した試薬や計算機を使用しているいるため、次年度使用額が生じている。しかし今年度は当該萌芽研究用に物品を揃える必要がある。
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