2023 Fiscal Year Research-status Report
第二高調波による細胞内らせん構造のラベルフリー新機能探索
Project/Area Number |
23K17933
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加納 英明 九州大学, 理学研究院, 教授 (70334240)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 良樹 九州大学, 理学研究院, 講師 (30508817)
|
Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | 第二高調波 / SHG / 始原生殖細胞 / PGC |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖細胞の形成には極顆粒が必須であり、その上にヘリカル・ポリソーム(HP)が形成されることが知られているが、HPの動態・機能は不明である。本研究では、細胞内の「らせん構造」を生きたままラベルフリーで検出できる第二高調波発生(SHG)を用いてHPの直接可視化を試みる。本研究で開発する新規光学技術と、ショウジョウバエを用いた詳細な分子遺伝学的解析を組み合わせることにより、これまで不明であったHPの動態を世界に先駆けて明らかにする。 初年度は、新規に導入した波長1550 nmのフェムト秒レーザー光源を用いることで、SHGに加えて第三高調波発生(THG)を同時検出できるイメージング装置の構築を行った。本装置を用いることで、面内300ミクロン四方の測定が可能である。テストサンプルとしてコラーゲンに富む生体組織を測定し、良好な信号対雑音比で画像取得ができた。また、始原生殖細胞について非線形ラマン(coherent anti-Stokes Raman scattering: CARS)分光顕微鏡を用いた研究も行い、発達段階によって異なるコントラストでラマン画像が得られることがわかった。特に、始原生殖細胞の遊走時は細胞内で脂肪滴の蓄積が一時的に抑制されることを示唆する結果が得られた。今後は、SHG/THGに加え、同様にラベルフリーなモダリティである非線形ラマン散乱も用いることで、生殖細胞のHPをはじめ新規SHG発生源を網羅的に探索する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生細胞や生体組織のイメージングにおいて、生体透過性の高い波長で発振するレーザー光源は利用価値が高い。本年度は、新規に導入した波長1550 nmのフェムト秒レーザー光源を用いることで、SHG/THG同時イメージング装置の構築を行った。本装置を用いることで、面内300ミクロン視野の測定が可能である。テストサンプルとしてコラーゲンに富む生体組織を測定し、良好な信号対雑音比で画像の取得ができた。また、始原生殖細胞について非線形ラマン顕微鏡を用いた研究も行い、発達段階によって異なるラマン画像が得られることもわかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究で、発達段階の始原生殖細胞は特徴的な代謝物分布を示すことがわかった。特に、遊走時は脂肪滴の蓄積が一時的に抑制されることを示唆する結果が得られた。今後は、SHG/THGに加え、同様にラベルフリーなモダリティである非線形ラマン散乱も用いることで、始原生殖細胞の極顆粒近傍はじめ新規SHG発生源を網羅的に探索する。
|
Causes of Carryover |
今年度の実験により、当初購入を予定していた光源とは別のスペックの光源を導入した方が良いことがわかった。機種選定を入念に行う必要が生じたため、次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(11 results)