2023 Fiscal Year Research-status Report
Design of Alternating Copolymerization Reactions by Employing Nonhomopolymerizable Monomers
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23K17946
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金澤 有紘 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50621322)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | カチオン重合 / 共重合 / 交互共重合 / 非単独重合性 / 分解性ポリマー / 酢酸ビニル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,非単独重合性モノマーの交互カチオン共重合系を探索し,多様な交互共重合体の創製と交互配列に基づいた機能開拓を行うことを目的とする。本年度はおもに,(1)酢酸ビニルと3-アルコキシフタリドの交互カチオン共重合系の構築,(2)側鎖に反応性基をもつビニルエステルを用いて合成した交互共重合体の高分子反応と酸分解,(3)単独重合性が無いあるいは小さいモノマーを用いたカチオン共重合系の開発,について研究を進めた。 (1)では,適切な触媒,温度,モノマー濃度などの条件を設計することで,酢酸ビニルと3-アルコキシフタリドの交互カチオン共重合が進行して分子量数万の交互共重合体が生成する系を構築した。生成ポリマーは主鎖にジアシロキシメチン部位を交互に有しており,酸性条件下ではこの部位が開裂してほぼ単一の低分子量体にまで選択的に分解した。 (2)では,(1)で構築した交互共重合系により,桂皮酸ビニルやメタクリル酸ビニルなどの反応性側鎖をもつビニルエステルを用いて交互共重合体を合成し,反応性側鎖での高分子反応をおこなった。桂皮酸ビニルから得られた交互共重合体では,適切な濃度で桂皮酸部位の光二量化反応が分子内で進行し,分子内架橋反応によるsingle-chain nanoparticleが生成した。さらに,このsingle-chain nanoparticleは酸分解が可能であった。 (3)では,β,β-ジメチルビニルエーテルと適切な構造の環状アセタールの交互カチオン共重合が進行する可能性を見出した。また,環状スピロオルトエステルを用いたカチオン共重合系の開発に着手し,ビニルエーテルとの共重合では1ブロックあたり環状スピロオルトエステルが1ユニット,ビニルエーテルが3から4ユニットの共重合体が得られた。用いるコモノマーを検討することで,交互共重合系の構築が今後期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビニルエステルと3-アルコキシフタリドの交互共重合系が構築され,生成した交互共重合体を用いた高分子反応まで検討でき,他のテーマについても交互系構築への足掛かりが得られつつあることから,順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度と同様に,新たな非単独重合性モノマーの交互カチオン共重合系を探索し,交互配列に基づいた機能開拓に向けて種々の検討をする。とくに,一般にはカチオン重合性を示さないビニルモノマーが交互カチオン共重合には有効な可能性に着目し,新たなモノマーの組み合わせを探っていく。また,環状スピロオルトエステルの系については,モノマー構造の設計や組み合わせるコモノマーの検討により,交互カチオン共重合を目指す。新たな交互共重合系の構築により新しい交互共重合体が合成できれば,側鎖反応性基の導入や主鎖構造に基づく機能発現の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
研究計画に沿って研究を推進したが,次年度使用額が生じた。翌年度以降に有効に使用する予定である。
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