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2023 Fiscal Year Research-status Report

有機薄膜太陽電池におけるオフセットレス高効率電荷分離への挑戦

Research Project

Project/Area Number 23K17949
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

尾坂 格  広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (80549791)

Project Period (FY) 2023-06-30 – 2025-03-31
Keywords有機半導体 / 有機薄膜太陽電池 / 電荷分離 / 電圧損失
Outline of Annual Research Achievements

OPVではp型とn型の有機半導体の接触によりp/n間で電荷が移動し、解離することで自由電荷が生成する。p/n間のLUMOまたはHOMO準位のオフセットエネルギーが、この一連の電荷分離過程のドライビングフォースとなる。一方、オフセットエネルギーは、この一連の電荷分離過程において失われるため、電圧損失の要因にもなる。そのため、OPVは開放電圧が低く、高効率化の大きなボトルネックとなっている。そこで、本研究では、オフセットエネルギーゼロ(オフセットレス)で効率的な電荷分離を引き起こす、革新的な有機半導体の開発を目指している。
有機半導体に生じる励起子が電荷分離するためにオフセットエネルギーが必要な理由は、ホールと電子が強く束縛されているからである。つまり、HOMOとLUMOが分子内の異なる部位に分離していれば、ホールはHOMO上に電子はLUMO上に存在するので、空間的にホールと電子が離れてクーロン力(励起子束縛エネルギー)が弱まり、格段に電荷分離しやすくなるのではないかと考えた。そこで、まず有機半導体として低分子n型材料に着目し、電子供与性(D)部位と電子求引性(A)部位が立体的にねじれながら連結した分子(MY2)を設計し、合成した。この分子はDFT計算により、HOMOがD部位、LUMOがA部位に分離することが分かった。また一方で、同様のビルディングユニットで構成され、HOMOとLUMOが分離せず同様に分布した分子(MY1)も設計、合成した。
これらの分子の吸収スペクトルを測定したところ、MY2はMY1に比べて、長波長ピークの強度が顕著に低下しており、分子内CT性が増大していることが分かった。これはDFT計算結果と一致しており、分子内においてHOMOとLUMOが分離していることを裏付ける結果となった。また、MY2はMY1に比べて、励起子束縛エネルギーが小さいことも明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

目的を達成するための分子を設計し、合成することに成功した。さらに、合成した分子について種々測定することで、期待したとおりの物性を有することが分かった。以上の点から、研究は順調に進展していると判断できる。

Strategy for Future Research Activity

今後は合成した分子を用いた光電変換素子を作製、評価し、実際にオフセットレス状態で効率的に電荷分離を示すかどうか実証する。さらに、より効率的に電荷分離しうる分子の設計と合成を進めていく予定である。

Causes of Carryover

研究は順調に進み、予算はほぼ計画通りに消化したが、他予算と共通の消耗品もあることから、今年度はやや余剰分が生じた。次年度は、本成果に関連する発表をするための出張旅費が増える予定であり、全額使用する見込みである。

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Published: 2024-12-25  

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