2023 Fiscal Year Research-status Report
イオンアンペアリングによる両親媒性荷電π電子系の超高次構造形成
Project/Area Number |
23K17951
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
前田 大光 立命館大学, 生命科学部, 教授 (80388115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼田 宗典 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70423564)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | π電子系 / イオンペア / 集合化 / 両親媒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、集合化能を有する両親媒性荷電π電子系を設計・合成し、荷電π電子系の規則配列構造を有するナノ相分離構造を基盤とした材料の創製に挑戦した。本年度は、構造・電子的に最適化された電荷種(イオン)を設計・合成し、その間にはたらく相互作用を制御することで、電子機能性材料への展開がなされている非荷電型π電子系を凌駕した電子・光機能マテリアルへの展開を基礎とし(総説:Responsive Mater. 2023; Chem. Soc. Rev. 2023)、両親媒性荷電π電子系集合体の創製を検討した。親水性基を導入した荷電π電子系イオンペアを新たに合成し、電荷積層型集合体からなるサーモトロピック液晶およびリオトロピック液晶の形成を見出した(論文発表予定)。対照的に、周辺置換基を有さない拡張荷電π電子系のイオンペアを形成し、高い分散力に起因した電荷種分離配置型集合体の形成を明らかにした(論文発表予定)。また、荷電π電子系の基本骨格を探索し、アニオン応答性π電子系としてジピロリルジケトンPt(II)錯体を展開し、π共役の伸長(Sci. Technol. Adv. Mater. 2024)や、配位ユニット(アリールピリジン)に依存した電子・光物性の変調、さらに脂溶性カチオンとのアニオン会合体の交互積層による固体りん光発光材料の創製を実現した(Chem. Sci. 2024)。金属イオンの電荷を部分補償した荷電π電子系としてらせん状Au(III)錯体を合成し、イオンペア集合化を検証した(Org. Lett. 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
両親媒性荷電π電子系からなる集合体の構成ユニットの形成・集合化手法を開拓し、親水性基を導入した荷電π電子系イオンペアの規則配列や、電荷積層型集合体1本鎖の観察など、物性・機能性発現の基礎となる研究が実施できた。このように、荷電π電子系の規則配列構造を有するナノ相分離構造へとつながる両親媒性荷電π電子系(イオンペア)の開発を実現することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
電荷を付与した両親媒性π電子系骨格の設計・合成、周辺修飾・誘導体の合成、集合化・組織化に関わる手法の開拓・最適化、さらに得られたイオンペア集合体(材料)の物性・機能性の評価を、共同研究も含めて継続して実施する。
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Causes of Carryover |
研究計画の調整にともなって次年度使用額が生じた。現状の成果をふまえて実施内容を検討し、自己集合化能を有する両親媒性荷電π電子系の合成を促進する計画であることから、次年度に使用する予定である。
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