2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of analysis techniques for precise epitopes of food allergens
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23K17976
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸山 伸之 京都大学, 農学研究科, 教授 (90303908)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / 高次構造 / エピトープ / 小型抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的に食物アレルギーを発症する人が増加しており、その要因の解明が急務となっている。食物アレルギーの原因物質の多くは安定な構造をとるタンパク質であり、アレルゲンと呼ばれる。それらのタンパク質の高次構造により形成される構造領域がアレルギー症状の発症に関与していることが明確になってきた。しかし、一次構造により形成されるエピトープが汎用される合成ペプチドを用いて解析が可能であるのに対して、分子表面の領域からなる構造的エピトープを解析することは、立体構造の情報とともに、その解析には技術的な課題が多く、正確に解析できる汎用的な解析法の確立が望まれている。本研究では、ジスルフィド結合を多く含む単量体タンパク質であり、プロセシングなどの寄与が少ないジベレリン制御タンパク質をモデルタンパク質とした。このアレルゲンは、食物アレルギーにおいて即時型症状に関与する頻度が高いことが知られる。まず、ジベレリン制御タンパク質の高次構造がIgE抗体による認識に重要であることを解析するため、ジスルフィド結合に対して高次構造を形成できなくすることにより、IgE抗体結合性が大きく減少することを示した。さらに、ジベレリン制御タンパク質の構造的エピトープの構造を推定するために、それに対する小型抗体の作製についても進行中である。それらを用いることにより、構造的エピトープを推定することが可能であると考えており、さらに、構造的エピトープを精密かつ正確に同定する手法の開発に進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジスルフィド結合を多く含む単量体タンパク質であり、プロセシングなどの寄与が少ないジベレリン制御タンパク質をモデルタンパク質とした。このアレルゲンは、食物アレルギーにおいて即時型症状に関与する頻度が高いことが知られる。まず、ジベレリン制御タンパク質の高次構造が抗体による認識に重要であることを解析し、ジスルフィド結合に対して高次構造形成を妨げることにより、IgE抗体結合性が大きく減少することを示した。このことから、ジベレリン制御タンパク質のIgE抗体との相互作用に構造的エピトープが重要であることを示すとともに、本研究のモデルタンパク質として適していることが分かった。さらに構造的エピトープを推定するために、ジベレリン制御タンパク質に対する小型抗体の作製についても進行中である。スクリーニングする必要性はあるが、動物に対して免疫をして調製するために、予定通り親和性のある抗体が取得できる可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
1)アルパカにアレルゲンを免疫して得られるPBMCから抗体に対するcDNAライブラリーを作成し、そこからジベレリン制御タンパク質に対する小型抗体をスクリーニングする。スクリーニングした小型抗体に対する組換えタンパク質を調製し、ジベレリン制御タンパク質と親和性をもつことを確認する。 2)小型抗体・ジベレリン制御タンパク質複合体を作製し、複合体を形成したことにより患者血清中のIgE抗体とジベレリン制御タンパク質との相互作用を阻害する小型抗体を同定する。アミノ酸残基に変異を入れたジベレリン制御タンパク質を作製し、変異型ジベレリン制御タンパク質との相互作用に基づき小型抗体が認識するアミノ酸残基を特定する。 3)免疫細胞の表面にヒトIgE抗体を結合させたレポーター細胞を用いて、推定したアレルゲンの構造的エピトープを認識する小型抗体によりレポーター細胞の応答が阻害されることを検証する。 4)上記の解析とアレルゲンの構造情報などを併せて、構造的エピトープを同定する。
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Causes of Carryover |
小型抗体の作製費が次年度になったため、次年度使用額が生じた。そのため、予定予算について次年度執行できると考えている。
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