2023 Fiscal Year Research-status Report
Hierarchical formation mechanism of icosahedral spherical virus particles and its pH-dependent control
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23K17981
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
和田 啓 宮崎大学, 医学部, 教授 (80379304)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | ウイルス / カプシド蛋白質 / 立体構造 / 人工ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルスは、蛋白質サイズの100倍以上になる核酸を収納するために最も対称性の高い正 20面体配置の粒子を形成する。本課題の目的は、たった一種類のウイルスカプシド蛋白質だけで粒子を組み上げることができる機序・階層性を解明し、その情報を基に粒子サイズを人工的に制御することである。 本課題では、カプシド蛋白質の形成途上の中間体オリゴマー状態をX線またはクライオ電顕で決定し,相互作用様式を明らかにする。これらの構造を模して、コード遺伝子の融合/削除 により中間体オリゴマーの安定化→粒子形成(in vitro)により粒子サイズ・形状デザインを可能にする。さらに、金属クラスターを分子会合の「糊」として利用することで「pH 感受性粒子」を創作する。 今年度は、ウイルスカプシド蛋白質の大腸菌での大量発現・精製を試みた。変異導入および可溶化融合蛋白質の組み合わせを含めると30種類以上の発現系を構築し、蛋白質精製をおこなった。ジャーファーメンターによる大腸菌大量培養と細胞破砕をおこなった結果、すべての蛋白質は不溶性画分に発現することがわかった。可溶化タグを融合させて可溶性発現にもトライしたが、すべての条件において不溶性画分に発現した。そこで、変性条件下において、種々のカラムクロマトグラフィーを組み合わせることでカプシド蛋白質を精製した。精製カプシド蛋白質の可溶化においては、それぞれの蛋白質の可溶化条件をスクリーニングキットを用いて最適化した。その結果、植物ウイルス由来のカプシド蛋白質において、可溶化性の人工粒子形成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々のウイルスに由来するカプシド蛋白質を順調に得ることができている。すべてが不溶性画分に発現したため、可溶化操作が必要ではあるが、蛋白質自体の発現に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、粒子サイズの改変に向けて配列のトリミングを進める。構造形成に関与する配列を変更することによりオリゴマー状態(3量体、5量体)の構造が変化し、ひいては粒子サイズの改変につながることを計画している。また、これらのオリゴマー状態を解析することにより、粒子形成メカニズムを理解する。立体構造解析を含め、分子レベルでの解析によって粒子形成の安定化因子を化学的に捉えることで、粒子形成・分解を自在にコントロールするストラテジーを精査する予定である。
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Causes of Carryover |
本課題では、鉄硫黄クラスターと呼ばれる金属補因子をカプシド蛋白質に融合/結合させることでpH依存的な粒子崩壊能の付与を計画している。カプシド蛋白質のアミノ酸配列に鉄硫黄クラスター結合モチーフ配列を挿入し、変異カプシド蛋白質の性状評価を進める予定であった。金属補因子の結合評価には、既に研究室に設置済みの無酸素チャンバーを使用予定にしていたが、そのチャンバーの不具合により使用不能になり修理が必要となった。そのため、計画していた実験の一部をペンディングすることになったが、修理後には順調に遅れを取り戻している。 上記の実験計画は、粒子サイズのコントロールと並行して進めていることから、二つの実験を同時に進めることが可能であり、それぞれの実験遂行における必要に応じて研究費を執行する計画を立てている。
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