2023 Fiscal Year Research-status Report
Nitrogen Acquisition in Plant via Bacterial Volatiles
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23K18000
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
川原田 泰之 岩手大学, 農学部, 准教授 (80786129)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 植物生育促進 / 土壌細菌 / 揮発性物質 / 根粒共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌細菌B3-1株から放出される揮発性物質と宿主植物(ミヤコグサ)との相互作用を厳密に評価するため、マジェンタボックスを上下に接続した閉鎖容器内で植物と土壌細菌B3-1株を、それぞれ隔離して共培養する間接的な相互作用システムを構築した。このシステム下で土壌細菌B3-1株から放出される揮発性物質をミヤコグサに暴露すると、TY培地で培養した土壌細菌B3-1株の揮発性物質は、窒素飢餓状態で生育させたミヤコグサの草丈と根長の双方の生育を促進させる一方、M9培地で培養した土壌細菌B3-1株の揮発性物質は、根長のみを促進させることが示された。さらに、ミヤコグサに根粒菌(Mesorhizobium loti MAFF303099株)を接種後、TY培地で培養した土壌細菌B3-1株の揮発性物質を暴露すると根粒数の減少が観察された一方、M9培地で培養した土壌細菌B3-1株の揮発性物質の暴露では根粒数が増加することが示された。このようなことから、土壌細菌B3-1株を培養する培地を替えることで、土壌細菌B3-1株が放出する揮発性物質の種類は変化することが予想された。 次に、ミヤコグサの生長および根粒数を制御する揮発性物質が水溶性であるかを検討するため、TY培地で培養した土壌細菌B3-1株の揮発性物質を植物水耕液に溶解し、その水耕液を用いてミヤコグサを生育させた。その結果、ミヤコグサの草丈の生育促進と根粒共生が観察された。これらの結果、根長を促進する揮発性物質は不溶性であり、草丈の生育促進と根粒共生の抑制する揮発性物質は水溶性であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土壌細菌B3-1株から放出される揮発性物質と宿主植物(ミヤコグサ)との相互作用を厳密に評価するため、閉鎖した容器内で植物と土壌細菌B3-1株を隔離して共培養する間接的な相互作用システムが構築されたことや、同システムを用いて土壌細菌B3-1株が放出する揮発性物質に対するミヤコグサの様々な応答が確認されたため、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、TY培地で培養した時に放出される土壌細菌B3-1株の揮発性物質に焦点をあて、GC-MS、およびLC-MSを用いて揮発性物質を網羅的に同定する。さらに同定した物質から、ミヤコグサの草丈や根長の促進、および根粒数を制御する物質を選抜する。
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