2023 Fiscal Year Research-status Report
Re-evaluation of the significance and function of bacterial viruses in the soil of the terrestrial ecosystem
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23K18017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 英樹 東北大学, 農学研究科, 教授 (20197164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 脩平 東北大学, 農学研究科, 助教 (60556710)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | バクテリオファージ / 陸域生態系 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球生態系を構成する生物には、様々な未知のウイルスが感染を繰り返しており、病気を引き起こすウイルス以外に、ウイルス感染が生物個体、生物集団、生物間相互作用など様々なレベルにおいて、生命活動に影響を与えている可能性が考えられる。先行研究として、海洋生態系に存在するウイルスの役割についての研究が著しい進歩を見せており、海水中の植物性プランクトンや細菌に感染するウイルスが、海洋生態系における物質循環に大きく寄与していることが示されている。しかし、海洋生態系で明らかになっているウイルスの役割を、陸域生態系に直接あてはめることはできない。本研究では、地球規模におけるウイルスの存在意義を理解するためには、陸域生態系におけるウイルスの役割を明らかにすることを目的とした。令和5年度は、農業生態系におけるウイルスの役割を解析する目的で、有機栽培に用いるために本課題研究者が作成した落葉堆肥から、非病原性Burkholderia属細菌を宿主とするウイルス(バクテリオファージ)3株を単離した。3株中2株(FLC8とFLC9)は、200kbp以上の大きさのジャンボファージであり、blastnによる塩基配列の相同性解析から、FLC8は、Myoviridae科Chiangmaivirus属に分類され、FLC9の新属であることが明らかになった。さらに、同落葉堆肥から、トマト青枯病の原因となる R. pseudosolanacearumに感染する5株のジャンボファージ (FLC4-4C、FLC4-5C、FLC4-11C、FLC1-1B、FLC4-3B)を単離した。blastnによるゲノム全長の塩基配列の相同性比較から分類の推定を行った。FLC4-4C、FLC4-5C、FLC4-11C は Chiangmaivirus属ファージであり、FLC1-1B と FLC4-3B は新属に分類される可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、土壌細菌へのファージ感染・溶菌が、生態系における窒素物循環に与える影響を解析するために用いるバクテリオファージ8菌株を、落葉堆肥から単離し、それらのゲノムDNA構造の解析、分子系統分類、土壌宿主細菌の範囲を明らかにした。これらのバクテリオファージを用いて、ファージ感染・溶菌が、土壌の窒素物循環に与える影響を解析する準備が整ったことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
バクテリオファージを用いて、ファージ感染・溶菌が、土壌の窒素物循環に与える影響を解析するため、宿主細菌とファージ混合液をオートクレーブ処理した無肥料培土に注ぎ、30℃でインキュベートする。1, 3, 5, 7日後に培土を一部採取し、滅菌水に懸濁後、遠心分離により土壌粒子を除く。得られた上精を-20℃で一時保存し、形態別窒素・リン分析装置(BLTEC, QuAAtro 2HR)を用いて、上清液に含まれる硝酸イオン濃度、アンモニウムイオン濃度(以下NA濃度と略する)を測定する。
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Causes of Carryover |
令和5年度は8株のバクテリオファージを単離し、それらを次年度の研究に供試することで、研究課題は計画通り実施可能である。しかし、さらに土壌中からより多くのファージを単離することにより、次年度の研究のより一層の進展が期待できることから、新たにファージ単離を継続するため次年度の使用額が生じた。
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[Journal Article] Isolation of Burkholderia jumbo phages and their utilization as biocontrol agents to suppress rice seedling rot disease.2023
Author(s)
Kanaizuka, A., Sasaki, R., Miyashita, S., Ando, S., Kumiko Ito, K., Fukuhara, T. and Takahashi, H.
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Journal Title
Journal of General Plant Pathology
Volume: 89
Pages: 24-34
DOI
Peer Reviewed
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