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2023 Fiscal Year Research-status Report

Research strategy for food ingredients that promote intracellular self-conversion of EPA/DHA from plant/seaweed-based n-3 fatty acids

Research Project

Project/Area Number 23K18042
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

細川 雅史  北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (10241374)

Project Period (FY) 2023-06-30 – 2026-03-31
Keywordsドコサヘキサエン酸(DHA) / α-リノレン酸(ALA) / アマロウシアキサンチンA(AmxA) / ロバスタチン / DHAの細胞内強化 / HepG2 / RAW264.7
Outline of Annual Research Achievements

本研究では挑戦研究として、α-リノレン酸(ALA)やステアリドン酸からEPAやDHAへの代謝変換の活性化および細胞内の蓄積強化(自己強化)をもたらす食品成分の探索を目的とする。2023年度に得られた成果は以下の通りである。
①ALAをヒト肝臓がん細胞であるHepG2細胞培養液に添加し、食品成分や薬剤含む54サンプルをそれぞれ併用してスクリーニングを行った。その結果、ALA単独処理と比較して、アマロウシアキサンチンA(AmxA)、パラセントロン、δ-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、ロバスタチン、ゾレドロン酸でDHA組成の増加が見られた
②HepG2細胞にAmxAとALAを併用添加し、経時的に分析した結果、48時間まで時間依存的なDHA組成の増加がみられた。さらに、AmxAとALA添加後のmRNA発現変化を定量PCRで解析した結果、ALAからDHAへの変換反応における不飽和化酵素FADS2のmRNA発現が有意に低下し、鎖長延長酵素であるELOVL5やβ酸化酵素であるACOX1やVLCADの有意な上昇が見られた。よって、AmxAがHepG2細胞の脂肪酸代謝を複合的に調節することでDHA強化をもたらすことが示唆された。
③AmxAのn-3系高度不飽和脂肪酸(n-3HUFA)増加効果をマクロファージ様RAW264.7細胞を用いて検証した結果、EPA、DPAn-3、DHA組成の有意な増加が見られた。さらに、FADS2、FADS1、ELOVL5、ACOX1のmRNA発現に有意な増加がみられた。よって、HepG2細胞とRAW264.7細胞では、AmxAによる細胞内DHA強化機構が異なることが示唆された。
④ロバスタチンとALAを併用処理したHepG2細胞では、FADS2やFADS1のmRNA発現量が有意に増加し、ALAからDHAへの変換が促進されることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は当初の目標である、ALAからDHAへの代謝変換および細胞内蓄積を促進する食品成分の探索を行い、複数の化合物を見出すことができた。さらに、DHA強化に関わる細胞内因子として脂肪酸変換酵素のmRNA発現変動を確認し、計画どおりの成果を得ることができた。さらに、細胞内DHA強化に関わる脂肪酸変換酵素のmRNA制御が、食品成分に加え、細胞種によっても異なることを見出した点は、当初の計画以上に進展した成果といえる。一方、DHA強化に関わるmRNA発現制御が非常に複雑であることが示されたため、それらの詳細な解明を進める必要がある。また、DHA強化成分をマウスに経口投与して、生体内でのDHA強化の確認が必要である。以上の研究全体の進捗状況を踏まえ、おおむね順調に進んだものと判断した。

Strategy for Future Research Activity

2024年度は以下の計画で研究を進める。
①細胞株を用いたALAからDHAへの代謝変換および細胞内蓄積を促進する食品成分の探索:これまでに、カロテノイド代謝物などALAからDHAへの細胞内強化を促進する物質を見出した。本年度もスクリーニングを継続し、よりDHA強化機能の強い成分の探索を継続するとともに、複数の食品成分の併用による細胞内DHA強化機能を検討する。
②トランスクリプトーム解析によるn-3HUFAの自己強化における調節因子の推定:生体内におけるALAからのn-3HUFAの自己強化には複数の代謝因子が関わっていることが2023年度の研究により推察された。そのような複雑な代謝系における制御機能を明らかにするため、食品成分で処理した細胞もしくは経口投与したマウスの組織を用いてトランスクリプトーム解析を行い、脂肪酸またはエネルギー代謝因子のmRNA発現について網羅的な解析を試みる。注目される因子についてはタンパク質レベルでの確認を行う。
③食品成分よるin vivoでのn-3HUFA自己強化作用の検証:細胞実験によりn-3HUFAの自己強化がみられた食品成分とALAまたはSDAをマウスに経口投与し、各組織や血液のn-3HUFAを定量分析することにより、in vivoにおける強化作用を調べる。また、血中脂質の低下作用などn-3HUFAの健康機能を合わせて評価することにより、食品成分によるALAからのEPAおよびDHA強化による健康機能増進への有効性を検証する。

Causes of Carryover

2023年度の研究計画として、DHAの細胞内強化を示す食品成分を見出し、トランスクリプトーム解析を行う予定であった。54サンプルをスクリーニングした結果、当初、活性物質の探索が困難であることを予想していたのに対し、複数の成分を見出すことに成功した。さらに、物質によってALAからDHAへの変換系制御が異なることや同一物質であっても細胞種によって変換制御が異なる興味深い知見を見出した。そのため、各食品成分の細胞内DHA強化に関わる機能を精査したうえでトランスクリプトーム解析や動物実験によるin vivoでの検証を行うべきであると判断し、それらに関わる予算を未使用とした。2024年度の計画として、有用なDHA強化成分を絞り込んだうえで、トランスクリプトーム解析による網羅的な遺伝子発現を調べ、制御機構の解明をはかる。また、マウスを使った動物実験により、生体内におけるDHAの強化機能を検証する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] α-リノレン酸の細胞内変換を促進する食品成分の探索と制御機構の解明2023

    • Author(s)
      小関万葉,高谷直己,別府史章,細川雅史
    • Organizer
      第61回日本油化学会年会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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