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2023 Fiscal Year Research-status Report

気孔の環境応答機構を模した換気システムによる施設園芸の水利用効率の最適化

Research Project

Project/Area Number 23K18066
Research InstitutionOsaka Metropolitan University

Principal Investigator

渋谷 俊夫  大阪公立大学, 大学院農学研究科, 教授 (50316014)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 大山 克己  大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 教授 (20456081)
Project Period (FY) 2023-06-30 – 2026-03-31
Keywords温室 / 物質収支 / 水利用戦略 / バイオミメティックス
Outline of Annual Research Achievements

気孔の環境応答機構に関する基礎知見を得るために,異なる湿度環境で育成したキュウリ葉のガス交換特性を,光合成蒸散測定システムを用いて計測した.光合成測定装置内のCO2濃度を変化させて,CO2濃度に対する純光合成速度,蒸散速度,気孔コンダクタンスの変化を測定した結果,キュウリ葉は低湿度環境下で気孔コンダクタンスを低下させるが,気孔コンダクタンスの低下による葉内CO2濃度の低下は,CO2固定速度が大きく低下しない範囲であった.したがって,本実験条件においては,低湿度下において植物が水損失を抑制するために気孔コンダクタンスを低下させたことは,CO2固定速度をほとんど低下させなかった.他方,葉の形態的特性を調べた結果,湿度の低下によって葉の厚さや葉脈構造の発達をもたらす構造的なコストは増大していることが推察された.これらの構造的なコストの増大は葉の通水コンダクタンスの増大に寄与していた可能性がある.したがって,低湿度環境下において気孔コンダクタンスがCO2固定速度を過度に低下させず,水利用効率を向上させた要因として,構造的コストを考慮する必要があるかもしれない.次に,気孔を模した換気システムのプロトタイプを作製し,換気を調節しながら植物の育成を行った.換気を制限することによって閉鎖空間内のCO2濃度は低下し,相対湿度は増大した.その結果として,植物の成長速度は小さくなり,量的な成長が抑制されるとともに,単位葉面積あたりの光合成能力が小さくなるなど,植物の品質が低下した.したがって,換気制限によって低下するベネフィットとして,植物の量的および質的な要素を両方とも考慮する必要があることが示唆された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

気孔を模した換気制御を考えるための基礎データとして,周辺大気環境が植物のガス交換特性に及ぼす影響を調べ,植物の構造的コストを含めた複雑さを定量的に明らかにできた.2024年度は,ガス交換特性の計測と換気制御装置のプロトタイプの試験に時間がかかり,換気システムの動的制御を用いた試験を実施できなかったが,研究の基本方針を確認できたことから,進捗状況はおおむね順調であると評価する.

Strategy for Future Research Activity

2024年度に得られた知見にもとづいて,気孔を模した換気システムを備えた小型温室を作製する.計測されたCO2吸収速度と蒸散速度からそれらによって生じるベネフィットとコストの差を算定し,それが設定範囲になるように換気量を動的に制御するシステムを構築する.動作結果にもとづいて,目標値や制御に必要な各種パラメータの調整を行う.換気制限によって生じる植物の量的および質的な要素の変化については学術的に価値の高い知見が得られる可能性が高いことから引き続きより詳細な調査を行う.

Causes of Carryover

換気制御装置のプロトタイプの試験に時間がかかり,換気システムの動的制御システムの作製のスケジュールが遅れたため,物品費の使用が少なくなった.また,旅費については,昨年度内の国際発表は間に合わなかったが,2024年5月に開催される国際学会および2024年度中に開催される国内学会で使用する計画である.

  • Research Products

    (2 results)

All 2024

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] 遠赤色光および相対湿度がキュウリ葉の光合成特性に及ぼす複合影響2024

    • Author(s)
      和田菜花,渋谷俊夫,遠藤良輔
    • Organizer
      日本農業気象学会2024年全国大会
  • [Presentation] Interaction between far-red light and humidity on gas exchange characteristics of cucumber leaves2024

    • Author(s)
      Wada, N., Shibuya, T., Endo, R.
    • Organizer
      X International Symposium on Light in Horticulture
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2024-12-25  

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