2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K18079
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 康二 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (50355070)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ウシ / 卵管 / 平滑筋細胞 / 収縮弛緩運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞培養時にラミニン培養プレートコート処理や血清飢餓処理を行い、継代を繰り返した。この条件下で培養した卵管平滑筋細胞における収縮マーカー (Myosin Heavy Chain 11) の遺伝子発現は、対照区と比較して有意に増加した。しかし、収縮能を有している卵管平滑筋組織や単離時の卵管平滑筋細胞と比較すると収縮マーカー発現が十分に回復していないことや、継代を繰り返すことで収縮マーカー発現が低下してしまうことが判明したため、収縮能を有する卵管平滑筋細胞の培養には卵管独自の培養法が必要だと考えられた。そこで、卵管平滑筋細胞の培養法改善の手がかりを見つけるため、これまで完全に明らかとなっていない卵管平滑筋組織における収縮弛緩制御メカニズムを探索した。発情を引き起こすステロイドホルモンとして知られるエストラジオール-17β (E2) は、排卵直後の卵管において緊張度 (持続的な筋張力) を増加させた。これは、 E2 の膜上レセプターであるGPER1を介した RhoA/ Rho kinase (ROCK) シグナル伝達経路の活性化によることが示唆された。発情周期中で ROCK のタンパク質発現量が異なっており、E2 に感作させた排卵直後の卵管平滑筋では、他の発情ステージと比較してROCK 活性レベルが高いことが示された。また、ROCK の阻害タンパク質として知られている RND3 の発現は、E2 濃度の高い排卵直前において多いことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵管平滑筋細胞の収縮に関与している経路についてのデータはおおむね回収できたと思われる。これらに関わる因子の発現をマーカーとして利用出来る可能性がある。次年度はこれを利用して平滑筋細胞が収縮能を獲得する培養系の確立を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の結果から、収縮能を有する卵管平滑筋細胞培養には、卵管平滑筋組織の収縮を促進する E2 や RhoA/ROCK シグナル伝達経路の誘起剤、RND3 阻害剤などの添加が必要であると考えられたため、今後検討を進める予定である。加えて、卵管平滑筋細胞の収縮能の評価系としてオキシトシンを収縮誘起剤としたコラーゲンゲル収縮アッセイを行ってきたが、培養した卵管平滑筋細胞ではオキシトシンレセプター発現が減少してしまうことから、新たな収縮誘起剤の探索も行う。 培養系の確立は上記マーカーの発現を元にスクリーニングを行い、新たな収縮誘起剤を用いたコラーゲンゲルアッセイ系を確立し、低受胎因子が卵管平滑筋細胞の収縮能にどのように影響するかについて検討する。
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