2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploratory tRNA biology oriented towards biodiversity and omics
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23K18101
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
工樂 樹洋 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (40391940)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | トランスファーRNA(tRNA) / 塩基修飾 / 横断オミクス解析 / ゲノム進化 / 脊椎動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、トランスファーRNA(tRNA)の役割を特徴づける塩基修飾などtRNA分子種の多様性に関する知見を新たに得ることによって、今まさに集積されつつある多様な真核生物の高精度ゲノム情報を活用してtRNA分子種の多様性についての知識を拡大し、究極的に、細胞状態を映す分子としてのtRNAの機能の包括的理解を導くことを目的としている。このために、インシリコ配列解析と分子生物学的解析の大きく分けて2つのアプローチを用いる。初年度は、とくにインシリコ配列解析については順調に進めることができた。とくに、二次構造を考慮したゲノム配列からの候補tRNA領域の網羅的検出のためのプログラムを吟味し、多様な脊椎動物を対象として網羅的検出の試行を施した。結果として、計算時間が現実的でありながら、信頼できる検出結果を出力するプログラムを選定しワークフローを確立することができた。上記試行の対象とした種のうち、真骨魚複数種について、全ゲノムを対象としたtRNAのコピー数と染色体配置の解析を行い、その一部を全ゲノム配列の新規取得を報告する原著論文(Sato et al., DNA Res, 2024)に含める形で出版した。そこからは、全ゲノム情報の完成度に応じて、検出されるtRNAコピー総数が大きく変動しうること、そして、ゲノムサイズが大きいほど、tRNAコピー総数が多くなる傾向がある可能性が示唆された。今後より多くの生物種でこの可能性を検証する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
他プロジェクトにおける計画変更の影響で、本課題内の、分子生物学実験によってtRNA分子の修飾を同定するための解析に未だ着手できていない。したがって、2年目に実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
さらにインシリコ解析を進めることにより、アミノ酸ごとのtRNAコピー数についての生物系統と連動したパターンを見出すとともに、コピー数がゲノムサイズと相関しているか、また、脊椎動物の中で奇異なパターンを示す生物群がないか、を検証する。並行して、分子生物学的なtRNA修飾の検出のための実験に着手する。解析手法として、一分子リアルタイムシークエンサの活用も検討し、当初予定している生物を含む対象に適用できる可能性を吟味する。
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