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2023 Fiscal Year Research-status Report

Is TY Peptide a Molecule Responsible for Sociality? Elucidation of the Function of a Novel Secretory Peptide Found in Termites.

Research Project

Project/Area Number 23K18102
Research InstitutionNational Institute for Basic Biology

Principal Investigator

重信 秀治  基礎生物学研究所, 超階層生物学センター, 教授 (30399555)

Project Period (FY) 2023-06-30 – 2026-03-31
Keywords社会性昆虫 / 抗菌ペプチド / シロアリ
Outline of Annual Research Achievements

研究代表者は最近シロアリのゲノム解読の過程でシロアリ系統特異的な分泌性ペプチドをコードする新規の遺伝子ファミリーを発見した。ヤマトシロアリでは、3つの重複遺伝子がゲノム上に隣接して並んでおり、それぞれペプチドのN末端に分泌シグナルをもち、C末端にはチロシンを多く含むため、tyrosine-rich peptide family gene(TYペプチド)と命名した。TYペプチドはシロアリ以外にホモログは見つからず既知のモチーフもなく機能は不明であるが、シロアリらしさを決める、おそらく社会性進化の鍵遺伝子である可能性が高いと考えている。その理由は、1)シロアリ系統特異的な遺伝子ファミリーであること、2) 強烈に高いレベルで発現していること、3)カースト間で発現差が顕著であること。本研究の目的はTYペプチドの機能を解明することである。予想される機能としては、カースト分化制御や個体間相互作用など社会性に関与する分子、社会性免疫を担う抗菌ペプチドなどが想定される。
今年度はまずTYペプチド遺伝子の進化について検討した。複数種のゴキブリとシロアリのゲノムデータからTY遺伝子を探索したところ、各種で複数の相同遺伝子を新たに同定した。次に、ヤマトシロアリとネバダオオシロアリで発現解析を行ったところ、どのTY遺伝子のパラログも職蟻の頭部で特に高発現することがわかった。さらに、ヤマトシロアリの職蟻を用いて、in situ hybridizationでmRNAの局在を調べた。その結果、表皮腺や消化管壁などの細胞で強いシグナルが確認された。次年度にタンパク質レベルでの解析を行うための準備として、SDS-PAGEによるタンパク質発現の予備解析を行った。また、TYペプチドを人工化学合成することに成功したため、次年度以降に合成ペプチドを使った分析(抗菌活性試験やシロアリ添加実験など)の準備が整った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本課題初年度となる今年度は、まずTYペプチド遺伝子の進化について検討した。複数種のゴキブリとシロアリのゲノムデータからTY遺伝子を探索したところ、各種で複数の相同遺伝子を新たに同定した。いずれも分泌シグナルを持つこと、TY-richの特徴を共有することを確認した。シロアリのTY遺伝子は3つのクレードに分類できること、社会性の進化に伴ってファミリーが拡大していることが示唆された。次に、ヤマトシロアリとネバダオオシロアリでRNA-seqとRT-qPCRによる発現解析を行ったところ、どのTY遺伝子のパラログも職蟻の頭部で特に高発現することがわかった。発現解析は、カースト間、発生段階、コロニーの発達に伴う生殖虫で発現変動の3つの解析を行なった。さらに、ヤマトシロアリの職蟻を用いて、in situ hybridizationでmRNAの局在を調べた。その結果、表皮腺や消化管壁などの細胞で強いシグナルが確認された。次年度にタンパク質レベルでの解析を行うための準備として、SDS-PAGEによるタンパク質発現の予備解析を行った。また、TYペプチドを人工化学合成することに成功したため、次年度以降に合成ペプチドを使った分析(抗菌活性試験やシロアリ添加実験など)の準備が整った。これらの研究は研究代表者の基生研グループと研究協力者の富山大・前川研究室との共同研究でなされたものであり、前川研究室の学生がこれらの内容を学会や卒業研究で発表した。このように、本課題の初年度から学会発表や卒研発表できるレベルにまで豊富なデータが得られたこと、次年度以降の予備実験も順調であることから、「当初の計画以上に進展している」と自己評価した。

Strategy for Future Research Activity

本課題は、3年をかけて以下の6つの小課題に分けて遂行する計画としている。研究1:TYペプチドを化学合成しシロアリに対する活性や微生物に対する抗菌性を調べる。研究2:シロアリにおける発現部位の特定。研究3:RNAi による機能解析。研究4: 立体構造予測。研究5:バイオインフォマティクス:比較ゲノミクスと遺伝子共発現ネットワーク解析。研究6:生体からのTYペプチドの精製と質量分析。

前年度は、研究2の発現部位の特定がほぼ完了した。研究5は前年度より順調に進展しているので今年度はさらに深い解析を行う。研究6については前年度予備実験としてSDS-PAGEを1度実施したので、繰り返して再現性を確認した上で質量分析によるプロテオーム解析をスタートさせる。また、研究1についてはヤマトシロアリTYペプチドの人工化学合成に成功したので、今年度シロアリや微生物に対する作用の解析を行う。研究4は今年度研究室GPU付サーバを導入する予定であるのでAlpfaFold2や類似アルゴリズムを用いてin silico立体構造予測を行う。

Causes of Carryover

研究協力者の富山大・前川研究室との打ち合わせや訪問実験に旅費を計上していたが、打ち合わせの多くがオンラインで実施できたこと、およびオンサイトの打ち合わせ・実験も他の用務と合わせて他予算で工面することができたため、旅費の支出が想定より下回った。しかし、共同研究が軌道に乗ってきたことを受けて、次年度は双方を行き来する打ち合わせや実験が前年度より多く生じる見込みであるので、その経費として利用する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] シロアリのゲノム上で重複した新規ペプチド遺伝子の発現解析2023

    • Author(s)
      保坂樹,花田拓巳,藤原克斗,重信秀治,前川清人
    • Organizer
      令和5年度日本動物学会中部支部大会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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