2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of artificial reaction intermediates by introduction of steric hindrance
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23K18106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 近 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任教授 (70172210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 隆太 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任講師 (50598472)
西山 尚志 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任助教 (30647011)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 反応中間体 / 立体障害 / 変異体 / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ca2+ポンプ作動機構の構造的解明の過程で阻害剤で止められる中間体の構造は全て決定し、能動輸送機構の大略は理解することができた。しかし、膜内に隔離したCa2+を内腔側に放出する過程、すなわちE1P.ADP.2Ca2+からE2Pに至る過程は、構造変化が大きすぎるためにそのメカニズムがよくわからなかった。そこで、その間に位置する人工的中間体を創出することを考え、立体障害の導入を試みた。立体障害としては側鎖レベルからへリックス、超二次構造まで多くの可能性があるが、まずは点変異体から始め、4つの変異体を設計し、長時間の分子動力学計算によって安定性を検討するとともに、実際に高等動物培養細胞にて大量生産し、蛋白質分解酵素を用いた部分分解によるfoldingの検討を行った。ツールとしてRosettaを採用し、テンプレートを用いてへリックスの導入も試みたが、期待通りの結果は得られなかった。また、数残基の挿入ではアルファフォールドのによる予測は無力であることも分かった。設計した4つの変異体はすべて大量生産し、そのうち2つについてはクライオ電顕による予備的検討を終えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
点変異体から始め、4残基挿入を二つの方法で挿入したものを大量生産、評価までできたので方法論を確立できた。順調に推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
系を確立できたので、中間体の系統的な生成に向けて、挿入位置、挿入配列の最適化を試みるとともに、実際の構造決定に挑戦する。Ca2+ポンプの場合、これまでにNa+ポンプで成功してきた条件では、単量体から三量体(あるいはそれ以上)のゆるい複合体を作ることが判明し、クライオ電顕による立体構造決定には困難が予想される。クライオ電顕試料の条件検討には時間を要するかもしれない。
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Causes of Carryover |
設計した変異体の分子動力学計算による評価とクライオ電顕で得た画像処理の強化のためにGraphic processorを搭載した計算器の購入を予定していたが、他の研究費で手当てできたために、急いで購入する必要は無くなった。本年度の研究で、計算機に頼らず正しい構造を採っているかの評価が早期に可能であることが判明したので、繰越した研究費は人件費に充てることによって、多くの変異体を生産し、研究を促進したい。
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