2023 Fiscal Year Research-status Report
Reconstruction of plant cytoskeleton organization
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23K18126
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小田 祥久 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30583257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 大介 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (40869765)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 微小管 / 細胞壁 / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の細胞壁はセルロース微繊維を主成分としており、その沈着パターンが細胞壁の物性を決定する。細胞壁の物性は細胞の形態に大きく影響するため、細胞壁の沈着パターンは植物細胞の機能や形態、さらには組織、器官の形成の基盤となる。細胞壁の沈着パターンは細胞膜直下に並ぶ表層微小管の列がセルロース合成酵素の進行を誘導することによって導かれる。これまでに表層微小管同士の相互作用や、細胞膜上の低分子量GTPアーゼタンパク質のシグナル等、様々な細胞内因子が微小管の配列パターンを制御していることが明らかとなってきた。しかし植物の表層微小管の配列パターンを作り出す最小構成の因子群やその作用機序は解明できていない。本研究では植物の微小管の配列パターンをin vitroやsemi in vitroで再構成し、植物の細胞骨格パターンの理解に向けた構成生物学研究の基盤を確立することを目指した。今年度は植物が独自に進化させてきた微小管付随タンパク質を精製し、in vitroで微小管の動態や物性に与える影響を調べるための実験条件を検討した。その結果、ポリリジン等を用いた微小管のアンカリングを避け、基板上にモータータンパク質を固着させ、重合させた微小管を基板上で移動させながら微小管付随タンパク質を作用させることにより、微小管に対する物性を評価することができることが分かった。また、微小管の密度や長さ、タンパク質の量など検討し、効率の良い実験条件を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は植物が独自に進化させてきた微小管付随タンパク質を精製し、in vitroで微小管の動態や物性に与える影響を調べるための実験条件を検討した。その結果、ポリリジン等を用いた微小管のアンカリングを避け、基板上にモータータンパク質を固着させ、重合させた微小管を基板上で移動させながら微小管付随タンパク質を作用させることにより、微小管に対する物性を評価することができることが分かった。また、微小管の密度や長さ、タンパク質の量など検討し、効率の良い実験条件を得ることに成功した。得られた画像データからの情報抽出や統計的な処理についても検討し、一定の成果が得られた。微小管の振る舞いに影響すると考えられるアクチン繊維の結合タンパク質についても精製し、in vitroでのアクチン繊維の重合への影響を調べた。これらは当該年度に計画していた実験であり、得られた成果も予想に沿ったものであったため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り研究を進める予定である。様々な微小管付随タンパク質を精製し、複数のタンパク質を同時に微小管に作用させることにより、植物に特徴的な微小管の構造や動態の再現を試みる予定である。表皮細胞での表層微小管においてはたらくタンパク質や、道管のように特徴的なパターンを示す微小管においてはたらくタンパク質を用い、これらの構造の再現を試みる。微小管付随タンパク質に加え、これらを制御する低分子量GTPaseなども扱う準備を始める予定である。微小管に加え、アクチン繊維に作用する様々なタンパク質、微小管とアクチン繊維の両方に作用すると考えられるタンパク質も精製し、in vitroで両者に対する作用を検証する。タンパク質の精製についても複数の方法を試すほか、植物細胞のプロトプラストから作成したメンブレンゴーストを利用する方法の検証を進める。また、UV局所照射やマイクロプリンティング法を用いたガラス面の微細修飾パターンの構築とその応用を進める。
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Causes of Carryover |
今年度実施する予定であった実験のうち、実験材料の都合により一部の実験を来年度に実施することにしたため、上記次年度使用額の助成金が生じた。来年度では実験材料がそろい次第速やかに当該助成金を用いて実験に必要な物品(消耗品)を用意し、研究を遂行する。なおこの実験を次年度に実施しても、本年の実験の大部分は完了しており当初の予定通りの研究成果が得られている。
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[Presentation] 道管において微小管に付随した相分離現象が細胞壁パターンを調節する2023
Author(s)
比嘉 毅, 貴嶋 紗久, 佐々木 武馬, 高谷 彰吾, 近藤 洋平, 佐藤 繭子, 若崎 眞由美, 豊岡 公徳, 出村 拓, 福田 裕穂, 小田 祥久
Organizer
日本植物学会第87回大会
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