2023 Fiscal Year Research-status Report
Verification of "control of systemic development" by nerves system
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23K18142
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
畠山 淳 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (90404350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 俊祐 熊本大学, 発生医学研究所, 講師 (10726318)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 全身発生 / 末梢神経 / 臓器発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経は、脳としての機能する以前から全身を統率しているかもしれない。発生過程において、脳だけ先に完成したり、心臓の形成が遅れることなく、全臓器の発生は足並み揃えて個体として発生するが、各臓器の発生を調和する全身発生時計の制御の機構は不明である。本研究では、全身発生という新たな視点から、臓器発生における神経の寄与を明らかにすることを目的とする。 本年度は、臓器発生における発生期の末梢神経の役割を明らかにするため、生直後のマウスに6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)を投与し、末梢神経を選択的に除去する実験を行った。6-OHDAを投与してから一週間から二週間で臓器発達に影響があるかどうか検討するため、心臓、腎臓、脾臓、肺を採取し、その重さを比較解析した。その結果、末梢神経系が減少している個体では、臓器重要が小さくなっていたが、体全体の体重も軽い傾向にあり、体サイズに伴う臓器サイズである可能性を排除できない結果となった。今後は、6-OHDAの投与量の調整及び体重に対する臓器重量で解析し直し、末梢神経が臓器発達に必要かどうか検討する。 さらに、末梢神経系に発現があり、視床軸索末端から分泌され大脳皮質の層形成を制御する機能をもつVGFに着目した(eLife 2022)。VGFは、抹消神経末端からも分泌され臓器発達に作用する可能性がある。VGFノックアウトマウスを解析したところ、現時点では臓器サイズに影響がみられる個体は得られていないが、まだ試料数が十分でないため、引き続き解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
6-OHDA投与実験は、先行研究の結果と異なり、末梢神経減少に伴い摂食障害の影響があり、体の小さな個体が多数あるとみられた。そのため、今後、6-OHDAの量の調整や体重比を加味した解析が必要で、それに伴い、抹消神経や6-OHDA処理した臓器のトランスクリプトーム解析が予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
6-OHDAの投与量の調整及び体重に対する臓器重量を加味した解析で、末梢神経除去実験は引き続き行う。そして、今後は、オルガノイドと末梢神経の共培養系を確立し、末梢神経の臓器発生・発達に対する作用を検証する。
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Causes of Carryover |
実験結果が期待するものと異なり、より実験試料を多くとる必要がある状況である。そのため、①正常胚の末梢神経系、②6-OHDA処理をした時の臓器、これらに発現する因子をトランスクリプトーム解析で明らかにする実験を2023年度に行う予定だったが、2024年度に行う予定に変更している。この実験にかかる費用を持ち越しとしている状況である。
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