2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanisms underlying inter-species differences in organ size.
Project/Area Number |
23K18143
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
山口 智之 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (80392158)
|
Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
Keywords | 臓器サイズ / 種間差 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界最小の哺乳類の一つはトウキョウトガリネズミとされており、その体長は約45㎜、体重は約1.5gである。逆に世界最大の哺乳類はシロナガスクジラで、その体長は約25m、体重は約160トンである。体長で約5000倍、体重で約10万倍もの差があり、体格と同様に臓器や器官の大きさも種間で大きな違いがある。体の成長における外因性シグナルの存在は、成長ホルモン(GH)欠乏症患者の出生後の低成長の症状、またGHを過剰発現するトランスジェニック動物は過剰に成長するという発見から明らかとなった。現在では性成熟とともにGHが働く骨端線が閉じるという制御機構が詳細に解明されている。一方で、トウキョウトガリネズミとシロナガスクジラの体格が何故このように大きな違いがあるのか、この体格の種差が現れる機構は未だに解明されていない生物学の古典的大命題である。本研究では、下記の3つの実験計画を遂行し、臓器サイズの種間差が表れるメカニズムを理解する。1. 臓器成長の種間差が現れる時期の特定、2. 臓器成長の種間差の原因のオミックス解析による予測、3. 臓器成長の種間差を導くシグナル経路と外因性分子の特定。当該年度は、マウスおよびラットの胎生期から生後6日目までの、体長、体重および膵臓、肝臓、腎臓の重量を経時的に測定し、どの時点で種間差が表れるかを解析した。その結果、マウス、ラットどちらも出生直前に度の臓器も一過性の急激な重量の増加を示したが、マウスではすぐに緩やかな重量増加に戻り、ラットではマウスと比較して緩やかな重量増加に戻るまで時間がかかった。この差が臓器サイズの種間差に影響すると予測した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は臓器成長の種間差が現れる時期の特定であったが、マウス、ラットどちらも出生直前に度の臓器も一過性の急激な重量の増加を示したが、マウスではすぐに緩やかな重量増加に戻り、ラットではマウスと比較して緩やかな重量増加に戻るまで時間がかかった。この差が臓器サイズの種間差に影響すると予測した。以上の結果から臓器サイズの種間差は出生前に起こることが判明し、当該年度の目標を達成したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の計画を遂行する。 1. 臓器成長の種間差の原因のオミックス解析による予測 2. 臓器成長の種間差を導くシグナル経路と外因性分子の特定 具体的にはラット体内に作製したマウス膵臓と野生型マウス膵臓を胎生期および出生後の様々な時期でその遺伝子発現、タンパク発現、代謝動態を比較、解析(マルチオミックス解析)することで、臓器サイズの種間差の原因となる分子(細胞増殖関連分子)を予測する。そして、その分子を改変したマウスES細胞を用いてラット体内に膵臓を作製し、膵臓のサイズに変化が表れるかを検証し、臓器サイズの種間差の原因となる分子およびシグナル経路を特定する。さらに、そのシグナル経路に関連する外的因子を特定し、サイズの種差が発生過程でどのように決まっているかを解明する。
|
Causes of Carryover |
受託遺伝子発現解析のサンプル調整に時間がかかり、当該年度内に提出できず次年度に提出となったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は当該年度内に予定していた遺伝子発現解析に使用する。
|
Research Products
(5 results)