2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of stochastic expression variation among plant individuals
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23K18156
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
永野 惇 龍谷大学, 農学部, 教授 (00619877)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ゆらぎ / トランスクリプトーム / 環境応答 / RNA-Seq / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
応募者らは個体レベルでの遺伝子発現のゆらぎの数理解析から、同一ゲノム・同一環境であっても、個体間の平均値よりはるかに大きな発現量を示す個体(レアイベント個体)が、低い確率ながらも無視できない割合生じるということを示してきた。この結果を受け、「発現ゆらぎによってレアイベント個体が生じることで、予期できず稀におこるストレス時の全滅回避と通常時の生長を両立している」という作業仮説を着想した。本研究ではこの仮説の検証を目指す。 今年度は、まず、発現ゆらぎの分布測定・レアイベント確率の定量手法の確立を行った。具体的には、96ウェルプレートの各ウェルで1個体のシロイヌナズナを栽培し、植物破砕液からRNA抽出をスキップして直接逆転写が可能なdirect RTバッファで破砕、低コストで多検体処理が可能なLasy-Seq法でRNA-Seqを行った。得られた96反復のトランスクリプトームデータから、遺伝子ごとの発現ゆらぎの分布を得た。さらに、小型培養庫を用いて様々な温度環境における分布測定に取り組んだ。これまでに、10、20、30℃において、同様のRNA-Seq実験を行い、それぞれの温度において96反復のトランスクリプトームデータを得た。現在、それらのデータを用いて、ガウス-パワー分布へのフィッティングなどから、発現ゆらぎの分布の遺伝子ごとの特徴を抽出し、レアイベント確率の大きさや分布形状など、より詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、96反復(個体)のRNA-Seq解析から、ゲノムワイドな発現ゆらぎの分布測定・レアイベント確率の定量の方法を確立することができた。また、様々な温度環境における分布測定についても、順調に進んでいる。以上から、研究計画全体に関して、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、様々な温度条件における発現ゆらぎ分布の解析を完了する。また、ヒストン脱メチル化酵素の変異体などを用いた発現ゆらぎ分布の解析を通じて、ヒストン修飾によって発現ゆらぎ分布が制御される可能性を検証する。 並行して、Luc発光レポーター系を用いた非破壊でのレアイベント個体の検出と生長解析による生理的・適応的意義の検討に取り組む。
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