2023 Fiscal Year Research-status Report
生きた脳組織における動的シナプトミクス解析への挑戦
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23K18160
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内ヶ島 基政 新潟大学, 脳研究所, 研究教授 (10614662)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | シナプトミクス / 分子標識 / ゲノム編集 / 2光子イメージング / シングルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
脳機能を支えるニューロンの1つひとつは、数千個のシナプスを介した情報入力を統合する。この1ニューロン内におけるシナプスを介した情報統合過程を高精度に理解するには、あるニューロン上の個々のシナプスにおける分子発現、形態、活動性の多様性を知る必要がある。私達は、ゲノム編集技術をマウス脳に応用することで、脳内1ニューロン上の数千個のシナプスにおける内在シナプスタンパク質発現の網羅的情報、いわゆるシナプトームをマッピングするための新技術を確立した。しかし、シナプスが時々刻々と絶えず変化する性質を帯びるにも関わらず、現在の1細胞シナプトーム解析は、ある1時点におけるスナップショット解析に留まっている。本研究は、この問題を克服するため、1細胞シナプトームマッピング技術によって蛍光標識された内在シナプスタンパク質の定量的計測を、生きたマウス脳内にて長期にわたって可能とする蛍光シグナル補正技術の開発を目指す。本年度は、幼若マウスから得た脳スライス培養標本を用いた2光子ライブイメージングを通じて、ブランドと大きさの異なる5種類の蛍光ビーズの評価を行った。結果、2光子ライブイメージング下でのシグナル補正に適した蛍光ビーズのブランドと大きさを見出した。これらの条件を満たす蛍光ビーズをin vivoマウス脳へ応用するため、in vitro条件下での長期イメージングをテストすると同時に、蛍光ビーズの脳内導入方法の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初計画していた蛍光ビーズを全て試すことができていないものの、2光子タイムラプスイメージングにてシグナル補正に適した蛍光ビーズのブランドと大きさを条件検討に目処がついたことから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に見出した蛍光ビーズ条件を元に、生きたマウスの脳に対する蛍光ビーズの導入方法の確立を図る。一方で、より適した蛍光ビーズを見出すため、in vitroにおける他の種類の蛍光ビーズの検討を引き続き行う。
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Causes of Carryover |
本年度に検討を行った蛍光ビーズの種類が当初予定していた数を下回ったため、助成金の残額が発生した。より適切な条件の蛍光ビーズを見出すため、まだ検討を行っていない蛍光ビーズの購入費用に助成金の残額を当てる予定である。
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