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2023 Fiscal Year Research-status Report

レジデンスタイム制御構造要素探索とその制御による薬物設計理論の提唱

Research Project

Project/Area Number 23K18171
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

市川 聡  北海道大学, 薬学研究院, 教授 (60333621)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 勝山 彬  北海道大学, 薬学研究院, 助教 (20824709)
Project Period (FY) 2023-06-30 – 2025-03-31
Keywordsレジデンスタイム / 天然物
Outline of Annual Research Achievements

標的に対する結合滞在時間を「レジデンスタイム」と言う。どのような分子・構造単位・要因がレジデンスタイムに影響を与えるのかはよくわかっておらず、論理的に薬物と標的のレジデンスタイムを制御する事はほとんどできていない。本研究は、レジデンスタイム制御構造要素探索とその制御による薬物設計理論の提唱を目指す。
本研究では、将来的な創薬展開を見据えて、重要な創薬リード分子である生物活性天然有機化合物を研究対象に設定した。これまで、レジデンスタイムに影響を与える構造単位は全く不明であった。そのため、分子のレジデンスタイムを論理的に制御するためには、まずレジデンスタイム制御構造を同定する必要がある。その方法として、主たる結合を担うコア構造と、これに結合するレジデンスタイムに影響を与えるであろうアクセサリー部からなる天然物誘導体ライブラリーを網羅的かつ系統的に合成し、それらの生物活性評価を通してレジデンスタイムに変化を与える化学構造を包括的に探索する事とした。これまで申請者は、複雑な構造を有する天然有機化合物の迅速かつ網羅的なライブラリー構築法を開発しており、本手法を適用する事で、迅速なレジデンスタイム制御構造の探索と構造活性相関情報の取得を同時に行う。研究の2段階目として、上述の研究により得られる膨大な構造/レジデンスタイム相関データを解析し、レジデンスタイム延長の主要パラメーターを同定する。レジデンスタイム制御構造要素が同定できた際には、分子動力学シミュレーション技術を取り入れる事で、レジデンスタイムが異なる天然物誘導体と標的との複合体の時間変化による配座変化を考慮にいれながら、更なる天然物誘導体を設計し、実際に化学合成した誘導体のレジデンスタイム延長の検証を行う。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2023年度は、抗菌薬の最後の砦としてしられているコリスチンと、細菌細胞壁ペプチドグリカンの生合成酵素の一つであるMraYとその強力な阻害剤として知られる抗菌天然物ムレイドマイシンを対象として、ライブラリー(各々500化合物からなる)を構築し、表面プラズモン共鳴(SPR)による標的タンパクとの解離定数の測定を行った。
コリスチンライブラリーについては、SPRを用いて、標的タンパク質Aに対する結合に関する速度論解析を行う事で、結合定数Kaと解離定数Kdを測定した。その結果、コリスチンの特定の位置のアミノ酸残基に置換基を導入した場合に、解離が遅くなる事が分かった。現在、この部位の置換基に関する構造活性相関を解析している。
ムレイドマイシンライブラリーについては、標的タンパクであるMraYが膜貫通タンパクであるため、SPR解析が難しい事がわかった。抗菌活性評価を行う事で、抗菌スペクトルが拡大した誘導体を見出している。

Strategy for Future Research Activity

上記の構造/レジデンスタイム相関データを用いて、主成分分析をはじめとする多変量解析を行い、レジデンスタイム延長のレジデンスタイム制御構造要素を同定する。レジデンスタイム延長の要因のひとつに、薬物と標的の立体配座の変換とそれに伴う熱力学的要因の変化が予想される。これらのイベントを再現するために、先端分子動力学シミュレーション技術を取り入れ、その理解をより深める。分子動力学シミュレーションを積極的に使用して、構造に基づいた動力学的薬物設計・合成を行い、レジデンスタイムが延長するかどうかを検証する。レジデンスタイム制御構造の一般性があるかどうかを検証すべく、レジデンスタイム延長効果を示すアクセサリー構造を、様々な薬物に搭載し、そのレジデンスタイム延長効果を検討する。得られた結果を統合的に解析する事で、レジデンスタイムの概念を付与した分子設計を提示する。

Causes of Carryover

R5年度に発注したある消耗品に関して、当該年度ないの納品が困難になったため。
その結果、R6年度の消耗品費として活用するため。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Discovery of Biologically Optimized Polymyxin Derivatives Facilitated by Peptide Scanning and In Situ Screening Chemistry2023

    • Author(s)
      Rintaro Kaguchi, Akira Katsuyama, Toyotaka Sato, Satoshi Takahashi, Motohiro Horiuchi, Shin-ichi Yokota, Satoshi Ichikawa
    • Journal Title

      J. Am. Chem. Soc.

      Volume: 145 Pages: 3665-3681

    • DOI

      10.1021/jacs.2c12971

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] In situ スクリーニングによるムレイドマイシンAの構造最適化研究2023

    • Author(s)
      淺尾健太,山本一貴,佐藤豊孝,堀内基広,横田伸一,市川聡
    • Organizer
      第35回 万有札幌シンポジウム

URL: 

Published: 2024-12-25  

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