2023 Fiscal Year Research-status Report
ホルモン分泌における環状ヌクレオチドシグナリングを照らすキナーゼ光スイッチ開発
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23K18195
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪井 貴司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80415231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 憲之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60514156)
原田 一貴 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60830734)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | キナーゼ / ホルモン分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
小腸内分泌細胞は、消化管ホルモン分泌を正しく行うために、消化管管腔内に存在する様々な刺激によって起こるcAMPやカルシウム、そしてcGMPのシグナルを区別しなければならない。しかしながら、光を用いて、cAMPやカルシウム、そしてcGMPの濃度変化の時空間的な制御は極めて困難である。
そこで本年度は、コムギ胚芽抽出液を用いた試験管内発現系を用いて、フォトトロピンのコドンを動物用に最適化したヒザオリ由来のネオクロムを発色団であるフィコシアノビリン合成タンパク質(ヘムオキシゲナーゼとビリン還元酵素PcyA)と共に発現させ、赤色光/遠赤色光の照射によってキナーゼの活性を可逆的にコントロールできる実験系の確立に取り組んだ。
まず、ヒザオリ由来のネオクロムのキナーゼドメインを消化管ホルモンの分泌調節に関わるプロテインキナーゼA(PKA)やプロテインキナーゼC(PKC)、そしてプロテインキナーゼG(PKG)のキナーゼドメインと置換したもの(ネオキナーゼ)の作出に取り組んだ。上記の実験と並行して、赤色光/遠赤色光の照射に反応しないネオキナーゼ変異体も作成した。ネオクロムはそれ自体のタンパクのサイズが大きいため、今後用いる動物細胞で正しく発現しない可能性が考えられる。そこで、動物細胞において、これらのキナーゼの発現を容易にするために、ネオキナーゼの光スイッチ機能に影響を与えない領域について、さまざまな領域を欠失させた分子量の小さいネオキナーゼも作出にも取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ネオクロム遺伝子の遺伝子内部に、遺伝子増幅する際、増幅の難しい塩基配列箇所が多数あることがわかった。そのため、ネオクロムのキナーゼドメインのPKAやPKGのキナーゼドメインと置換や赤色光/遠赤色光の照射に反応しないネオキナーゼ変異体の作出に手間取ったため、当初の予定よりも、実験がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、コムギ胚芽抽出液を用いたフォトトロピンの試験管内発現系を用いて、コドンを動物用に最適化したヒザオリ由来のネオクロムを発色団フィコシアノビリン合成タンパク質と共に発現させ、赤色光/遠赤色光の照射によりその活性を可逆的に調節できるキナーゼ活性解析系を確立する。平行して、ホルモンを分泌する小腸内分泌細胞株にネオキナーゼを導入し、ホルモン分泌への影響について解析する。
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Causes of Carryover |
ネオクロム遺伝子の遺伝子内部に、遺伝子増幅する際、増幅の難しい塩基配列箇所が多数あったため、さまざな変異体の作出に時間がかかり、当初の予定よりも、実験が遅れたため。
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