2023 Fiscal Year Research-status Report
一次繊毛と細胞外小胞分泌を特性とするがん幹細胞の新規概念創出とその生物学的意義
Project/Area Number |
23K18244
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 清嗣 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70345312)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 彩舟 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40772744)
|
Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | 癌 / 幹細胞 / 一次繊毛 / 細胞外小胞分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、がん細胞には存在しないと考えられていた細胞小器官「一次繊毛」によるがん幹細胞 (Cancer Stem Cells)の制御を検証するものである。特に、幹細胞性の高いがん細胞株に、形態の異常な一次繊毛が高頻度に観察されるという予備データに基づき、一次繊毛を切り口とした、がん幹細胞の新たな特性の理解を目指す。 本年度は、解析のツールとなる一次繊毛の欠損がん細胞株の樹立とトランスクリプトーム解析の実施を目指した。予備検討から、顕著な一次繊毛が確認され、かつ幹細胞性の高いがん幹細胞としてヒト膵がん細胞株(Panc1)ならびにヒト骨肉腫細胞株(MG63)を選択した。これら2種類のがん細胞株ならびに正常細胞株としてhTERT-RPE1細胞の3種類に対し、CRISPR-Cas9による一次繊毛欠損細胞 (① IFT88-KO, ② KIF3B-KO)の樹立を試みた。免疫細胞染色の結果、一次繊毛の欠損した各種細胞株の樹立に成功した。 現在、各種野生型細胞を含めた9細胞種に関し、一次繊毛の有無による表現系の差異を明らかにするため、RNA-seq解析を実施中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、CRISPR-Cas9による一次繊毛の欠損細胞株の樹立に成功し、RNA-seq解析まで実施済みであるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度で、解析の材料となるノックアウト細胞は作出することができた。次年度は、解析中のトランスクリプトームデータを整理し、一次繊毛の有無によるがん細胞株の形質変化を解明する。また、一次繊毛から放出されるCiliary Vesiclesの濃縮と機能解析を展開する。
|
Causes of Carryover |
動物実験を計画していたが、ノックアウト細胞の作出とRNA-seq解析を優先して進めたため、動物実験の着手に至らなかった。細胞株を用いた解析は計画よりも前倒して進展したため、次年度は動物実験の比重を上げる予定である。
|