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2023 Fiscal Year Research-status Report

Induction of courageous behavior by modulation of dopamine release in the brain

Research Project

Project/Area Number 23K18256
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

相澤 秀紀  広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (80391837)

Project Period (FY) 2023-06-30 – 2025-03-31
Keywordsドーパミン / ストレス / 勇敢 / マウス
Outline of Annual Research Achievements

勇気は、不安や恐怖など負の情動を克服した上で危機的状況を積極的に解決する体制と考えられる。しかし、このような意思決定を駆動する勇気の神経機構は、その重要性にも関わらず未開拓の領域である。この問題に対し申請者は、尾懸垂状態のマウスが「絶望状態」から「闘争状態」に切り替わる直前に、腹側線条体のドーパミン放出が低下することを掴んでおり、「勇気の背景にはドーパミン放出の低下がある」という仮説に至っている。本研究の目的は、この仮説を検証するため、不安や恐怖を克服する「勇気」を尾懸垂下マウスの「闘争状態」への移行へ還元し、ドーパミンの役割を複数の神経系で解析することで、上記仮説の普遍性を検証することである。今年度は、行動中のマウスの各脳領域におけるドーパミン放出を光測定する方法の最適化を行った。具体的には、1)ドーパミンの光測定を担うバイオセンサーをAAV-Silk法の導入により最適化し、2)光カニュラの埋め込み手術および光測定データの解析ワークフローの開発を行った。3)また、尾懸垂下における行動データを収集し、数値解析を行った。これらの成果により、尾懸垂下での不安や恐怖を乗り越えて闘争行動へ至る際の腹側線条体ドーパミンの減少を光測定により確認した。この研究結果は、従来法であるボルタンメトリによる先行研究結果を再現するものである。同様の研究結果が新たな光測定により得られたことは、光測定の簡便性と高い物質特異性を利用して本研究が推進されることを示している。このようにして次年度より任意の神経経路におけるドーパミン放出の測定が効率的に行うことが可能となった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度の主な達成目標は、1)細胞外ドーパミン測定を行うバイオセンサーの導入法の効率化、2)行動中のマウスにおける脳内ドーパミン放出のデータワークフローの確立であった。まず、1)については、従来法によるとAAVによる遺伝子導入部位と光ファイバー埋め込み場所が必ずしも一致しないケースが散見されており、問題解決の必要があった。これらについて、AAV-Silk法を新たに導入して問題解決にあたり、良好な結果を得ており、順調に研究は進展した。また、光測定による取得データの解析ワークフローの開発が課題であったが、この点についてもMatlabを用いた解析コードを独自に開発することで、問題解決を図った。また、2023年度には、次年度に本格使用予定のTH-IRES-Cre系統のコロニー形成を進めていたが、一部系統維持にトラブルがあり、やや遅延している。この問題は2023年度末に解消しており、順調にマウス交配が進めば、今後の研究計画に問題はないと考えられた。これらの事実より、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

今後は、以下の2つの課題に取り組む予定である。1)脳の複数領域におけるドーパミン放出の同時計測を行うことにより、腹側線条体でみられたドーパミン放出動態との類似点および相違点について検討する。2)上記で得られる細胞外ドーパミン放出の動態と行動にみられる意思決定の因果関係について光遺伝学を用いて検証する。1)については、複数領域への光ファイバーの埋め込みに際して、新たな測定装置の開発および相互干渉を回避した光ファイバー設置場所を最適化する必要がある。多点光測定の装置については、すでにプロトタイプ開発を終えており、この装置を応用することで研究を推進する。2)については、光刺激による任意の脳領域でドーパミン放出を活性化もしくは不活性化させる必要があり、ドーパミン神経細胞特異的な遺伝子操作を可能にするTH-IRES-Cre系統を用いて研究を推進する予定である。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた主な理由は、2023年度に準備予定であったドーパミン神経細胞特異的な遺伝子操作を可能にするTH-IRES-Cre; Rosa-ChR2系統の確立に遅延が生じたためである。具体的には、Rosa-ChR2レポーターが全ての組織および脳領域で恒常的に発現する系統が自然発生し、ドーパミン神経系のみにレポーター発現の限局する系統と混在したため、その選別と実験に使用可能な系統の再確立に時間を要した。このため、当該マウスコロニーの拡大に必要な飼養経費および遺伝型確定に必要な試薬類の消耗品費を2024年度に充当することとした。

  • Research Products

    (7 results)

All 2024 2023 Other

All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results,  Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Neural mechanisms underlying uninstructed orofacial movements during reward-based learning behaviors2023

    • Author(s)
      Li Wan-Ru、Nakano Takashi、Mizutani Kohta、Matsubara Takanori、Kawatani Masahiro、Mukai Yasutaka、Danjo Teruko、Ito Hikaru、Aizawa Hidenori、Yamanaka Akihiro、Petersen Carl C.H.、Yoshimoto Junichiro、Yamashita Takayuki
    • Journal Title

      Current Biology

      Volume: 33 Pages: 3436~3451.e7

    • DOI

      10.1016/j.cub.2023.07.013

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] Deep ultraviolet fluorescence microscopy of three-dimensional structures in the mouse brain2023

    • Author(s)
      Kasaragod Deepa Kamath、Aizawa Hidenori
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 13 Pages: 8553

    • DOI

      10.1038/s41598-023-35650-2

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Altered monoamine system and neuroinflammation in depression2024

    • Author(s)
      Hidenori Aizawa
    • Organizer
      International Conference on Neuroscience and Osteoimmunology
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] うつ病様行動を制御する手綱核アストロサイトの起源2024

    • Author(s)
      相澤秀紀、松股美穂、Laura Ayaka Noguera Oishi、西村史絵、Deepa Kamath Kasaragod、Xintong Yao、相田知海、田中光一
    • Organizer
      第129回日本解剖学会総会・全国学術集会
  • [Presentation] 外側手綱核アストロサイトの光操作によるうつ病様行動異常2023

    • Author(s)
      松股 美穂、西村 史絵、Yao Xintong、山内 厚志郎、Tan Wanqin、田中 光一、相澤 秀紀
    • Organizer
      第46回日本神経科学大会
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] アセチルコリン神経伝達によるマウス大脳皮質運動野における半球間相互作用の修飾2023

    • Author(s)
      半田 高史、相澤 秀紀
    • Organizer
      第46回日本神経科学大会
    • Int'l Joint Research
  • [Remarks] 広島大学神経生物学ホームページ

    • URL

      https://neurobio.hiroshima-u.ac.jp

URL: 

Published: 2024-12-25  

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