2023 Fiscal Year Research-status Report
ヒト幹細胞運命可変機構解明による体内臓器転換法の開発
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23K18281
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
土屋 輝一郎 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40376786)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 体内臓器転換 / 臓器機能補完 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヒト体性幹細胞の運命を可変させることにより、体内の自臓器を他の目的臓器に転換させることを目的とする。 従来、ヒト臓器の機能不全に対しては、根本的な治療を目指して再生医療の開発が行われている。しかしながら多能性幹細胞は臓器の成熟度や癌化の問題があり、体性幹細胞はその元となる組織の確保が必要となる。申請者はヒト大腸上皮体性幹細胞をオルガノイドとして培養維持しているが、長期炎症刺激により大腸上皮幹細胞が形質転換し、炎症性腸疾患の病的腺管を形成すること、大腸上皮幹細胞が正常化し、正常腺管を再構築し得ることを示した。つまり、体性幹細胞は塑性を維持する一方、ある条件では可塑性を獲得し形質転換することを明らかとした。そこで本課題では、同一人物由来ヒト小腸、大腸オルガノイドの差異解析により臓器特異的分子を明らかとし、1分子による臓器転換法の確立を目的とした。 本年度は同一人物由来の小腸、大腸生検検体を用いてマイクロアレイ解析により小腸及び大腸に特異的に発現する遺伝子を抽出した。同時に同一人物由来の小腸・大腸オルガノイドのマイクロアレイ解析にて特異的な遺伝子を抽出した。オルガノイドは幹細胞を含む未分化細胞が多く含まれる状態を維持している。両方の解析により、分化状態・未分化状態における共通の遺伝子を候補因子として抽出することで、臓器運命因子の候補とした。臨床検体においても特異的発現を認める遺伝子を候補として選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、小腸・大腸の網羅的遺伝子発現解析を行い、発現の異なる候補遺伝子の抽出を行った。次年度は候補遺伝子の機能解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、前年度に抽出した候補遺伝子の機能解析を行う予定である。具体的にはオルガノイドに候補遺伝子の発現もしくは欠失を行い、小腸と大腸の機能に影響するかを確認する。
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Causes of Carryover |
主にデータ解析を行い、候補遺伝子の抽出を行ったため費用を計上しなかった。データ解析のみにて、候補遺伝子の抽出を終えている。次年度は今年度選定した複数の候補遺伝子の機能解析を行うため、細胞培養、遺伝子操作、各種解析に使用する計画である。さらに、研究を遂行するため技術補佐員を雇用し、成果の促進を図る予定である。
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