2023 Fiscal Year Research-status Report
Fundamental research for the development of anti-aging therapy for aged donor kidney rejuvenation
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23K18308
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
臼井 丈一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70447340)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 腎臓移植 / 老化 / GPNMB |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は科研費国際共同研究強化(B)、基盤研究(B)において高齢ドナー腎臓の若返りのメカニズム解明研究、加齢性内科疾患のメカニズム解明研究を手掛けており、現在ヒト移植腎臓組織サンプルのP16を中心とした老化指標のモニタリング研究を実施している(英文論文投稿中)。この基盤研究成果を元に、潜在的な腎機能低下を伴う高齢ドナー腎臓の機能回復を実現しより多くの高齢ドナー腎臓の移植活用を目指す。具体的には高齢ドナー腎臓に対する(A)抗老化ワクチン開発、(B)抗老化CAR-T細胞療法開発という2つの革新的な治療法開発のための基盤研究を進めている。(A)高齢ドナー腎臓に対する抗老化ワクチンの開発:すでに他領域で開発が進められているマウス抗GPNMBワクチンの活用を第一に考えヒト腎臓でのGPNMB発現を解析し、P16陽性老化細胞でのGPNMB共発現を確認を進めている。抗ヒトGPNMB抗体の組織染色条件設定は完了し、現在P16陽性老化細胞、酸化ストレスマーカーとの3重染色を進めている。(B)高齢ドナー腎臓に対する抗老化CAR-T細胞療法の開発:計画段階ではp16トレーサーマウス腎臓由来p16発現細胞の純化+single cell RNA-seqを用いCAR-Tの標的分子候補を探索する予定であったが、p16トレーサーマウスの使用や経費面を考慮し、ヒト老齢腎臓組織上のP16陽性老化細胞との多重組織染色(CODEX等)を用いた老化細胞マーカーの探索を行う予定とした。現在その準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた海外研究施設への出張はCOVID-19感染や公務等に伴い、不可能であった。国内での実験、サンプル使用を中心に研究を進めた。(A)は計画通り、(B)は計画を修正することによりおおむね順調に進捗している。(A)高齢ドナー腎臓に対する抗老化ワクチンの開発に関しては、計画通りヒト腎臓でのGPNMB発現を解析中であり、令和6年度内に成果が明らかに出来ると思われる。(B)高齢ドナー腎臓に対する抗老化CAR-T細胞療法の開発に関しては、p16トレーサーマウスの解析から、ヒト腎臓P16老化細胞の多重染色に計画を変更とはなったものの、準備はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
腎臓臓器老化のメカニズムの一端を解明し、臨床医学研究に還元することを目標として、腎臓病病態や腎臓老化の解明や移植におけるドナー腎臓の若返りを念頭に置き、引き続き同様のテーマに則し研究を進捗する予定である。研究のための海外渡航が許可される世界情勢となり次第、速やかに共同研究を進めるべく海外施設での活動を行う。(A)P16とGPNMBの共発現の検証により、すでに研究シーズの存在する抗GPNMB老化ワクチンの活用可否が判明すると思われる。(B)ヒト高齢腎臓における抗老化細胞の膜表面分子探索という挑戦的検討を引き続き進めていく。両プロジェクを平行して進め、国際共同研究へさらに大きく展開していく方向性に変更はない。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた海外研究施設への出張がCOVID-19感染や公務等により不可能となったため、渡航旅費の使用を来年度に変更とした。また、(B)の計画変更に伴い、マウス実験の替わりに行うヒト多重染色解析の実施を来年度に変更とした。以上より次年度使用額が生じている。
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