2023 Fiscal Year Research-status Report
分娩のエピゲノム記憶に基づいた子宮頸管熟化機構の解明
Project/Area Number |
23K18332
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 美和 熊本大学, 病院, 助教 (90971391)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 英治 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (10544950)
山口 宗影 熊本大学, 病院, 講師 (20626535)
|
Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
Keywords | 分娩 / エピゲノム記憶 / 子宮頸管熟化 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、研究計画書で2023年度に予定されていた2項目においての研究実績を報告する。 1.ヒト子宮頸部の検体採取 研究計画では、子宮摘出を受けた30-45歳の未産婦および経産婦各10例ずつからの検体採取を目標としており、現時点では、30-45歳の未産婦2例(33-43歳)・経産婦4例(39-45歳)から得られた摘出子宮より子宮頸管間質の中位から検体を採取し、採取・保管することができた。条件に該当する症例でも患者本人の理解度や子宮摘出に対する精神状態から研究参加への同意取得が難しい症例があったため、次年度も引き続き該当症例に対して検体採取を積極的に行なっていくことが必要である。 2.子宮頸部の網羅的遺伝子発現解析およびオープンクロマチン領域の検出 研究計画では、各群の遺伝子発現をRNA-Seq解析にて網羅的に検討後、両群で発現に差を認める遺伝子群を抽出し、Gene Ontology解析等のパスウェイ解析を行うこと、ATAC-Seq解析を行い、各群で遺伝子発現とChromatin Accessibilityに共通して差異を認める候補遺伝子を同定することを予定していた。まず、RNA-Seqのための検体からのRNA抽出するために、1症例の組織を通常の組織粉砕でよく用いられるbeads粉砕のビーズの種類で粉砕を試みたが、完全に組織を粉砕することはできず、得られたRNA量は少量で解析には不十分な量であった。また、粉砕不十分な状態で抽出されたRNAはRIN値が低くなる傾向にあり、また、RNA自体も偏った細胞腫で取られている可能性が示唆された。そのため、まず、RNA抽出方法の検討が必要と考え、研究のため組織を使用することに同意が得られた患者の摘出検体から得られた子宮頸部間質の組織を用いて(当院倫理委員会で承認済)、事前にメスで組織を裁断する前処理をし、ビーズ粉砕の種類を検討し、より強力な粉砕力のものに変更することで高濃度のRNAを抽出することができ、この方法を用いてRNA-seq解析を予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)検体採取において、未産婦および経産婦それぞれ各10例(計20例)を予定していたが、まだ未産婦および経産婦合わせて6例であるため。 (2)子宮頸部の網羅的遺伝子発現解析およびオープンクロマチン領域の検出において、RNA-Seq解析およびATAC-seq解析を行う予定であったが、RNA抽出方法の検討が必要であたっため、まだ実際に解析できていないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.ヒト子宮頸部の検体採取 当初は当院で症例数を達成できることを見込んでいたが症例数はまだ達成していないため、該当症例患者に対して、詳細に研究内容を説明し、可能な限り研究参加の同意が得られるように尽力し、厳しいと判断された場合は、研究計画書のように当院の関連施設に検体の提出を再度依頼し、検体採取を行う。 2.子宮頸部の網羅的遺伝子発現解析およびオープンクロマチン領域の検出 検体採取と並行して今年度検討したRNA抽出方法を用いてRNA-seq解析を行う。また、ATAC-seq解析に関しても、RNA-seq同様にRNA抽出の方法の検討が必要であると考え、早期にこの検討を行い、解析を行う。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症への対応による研究推進の人員不足により、検体の収集が当初の計画通りに進まなかったため、研究計画に遅れが生じた。次年度は検体の収集に注力する。
|