2023 Fiscal Year Research-status Report
分泌型免疫グロブリン受容体のレパトア解析に基づいた上気道粘膜上皮多様性解析
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23K18342
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小笠原 徳子 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (00438061)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | シングルセル解析 / 扁桃組織 / RSウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
粘膜上皮細胞は分泌型IgAと基底膜側で受容体を介して結合し、管腔側に分泌するという重要な免疫機能を果たしているが、その詳細は不明である。本研究では上気道粘膜上皮細胞が果たす免疫担当細胞としての側面に着目し、上皮細胞の機能的多様性を呼吸器感染性微生物感染・非感染時におけるシングルセルを含めたトランスクリプトーム解析・分泌型IgA受容体 (polymeric immunoglobulin receptor: pIgR) の局在変化・挙動・結合解析を用いて解明する。pIgRは上皮細胞で産生される免疫グロブリン受容体であるが、これまで報告のないpIgRのレパトア解析を通じて上皮細胞の免疫担当細胞としての新たな機能的側面を探索することは、粘膜免疫のみならず呼吸器感染性微生物に対する局所投与型ワクチンを含めた予防・治療戦略開発に強い波及効果をもたらす。 初年度はadenoid組織からsingle cell isolationを行い、それぞれRSウイルス感染群と非感染群に分けて同数の細胞を培養し、RSVの感染実験を行った。それらの組織について培養48時間後に固定処理を行なって、10xchiromiumを用いたsingle cell RNA sequenceを行った。結果については現在解析中である。また本計画の予備検討の結果、初代培養咽頭扁桃上皮細胞ではRSV感染後にpIgRの発現がmRNAレベルで有意に減少することを見出している (n = 5, adjusted p 値 0.03)。シングルセル解析を上皮細胞でも行っておりpIgRについて引き続き解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調であるが、2023年4月から7月まで申請者産休取得のため、遂行できていない研究がある
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Strategy for Future Research Activity |
使用する上皮細胞を用いてpIgRの発現を定量確認後、3次元培養法であるAir-liquid-interface (ALI) の手法を用いて培養上皮細胞の免疫染色を行い、pIgRの細胞内局在をX-Y軸およびZ軸において蛍光顕微鏡を用いて確認する。上気道感染性病原体であるRSウイルス (RSV) 感染前後でのpIgRの局在/発現変化解析を行う。pIgR局在確認がうまくいかない場合には、pIgRが豊富に発現する培養顎下腺上皮細胞を用いて解析を行う。 RSV感染前後でのアデノイド組織を用いたpIgRのシングルセルレパトア変動解析を行う。CDR1-3を中心に多様性が存在するか組織全体のRNA seq (バルク-seq) でのレパトア解析をおこなう。並行して感染・非感染群それぞれB細胞受容体探索のワークフローを用いてシングルセルレパトア解析を行う。このシングルセル解析過程でpIgRが特異的に発現する上皮細胞のcharacterizationが可能となる。さらにバルク-seqとシングルセル解析を統合的に行い、希少な細胞数での解析結果を補完する。受容体に多様性が乏しい場合には、申請者がもつ初代培養細胞ライブラリを用いてpIgRのCDR1-3部における遺伝子多型とRSVにおける発現変動について関連解析を行う。
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Causes of Carryover |
2023年4月から7月まで産休を取得していため。
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Research Products
(2 results)