2023 Fiscal Year Research-status Report
Determination of chronic or intractable mechanisms induced by low bone quality with osteomacs and bone marrow derived stem cells interaction
Project/Area Number |
23K18364
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
黒嶋 伸一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40443915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 正人 東海大学, 医学部, 教授 (90372945)
松本 拡高 長崎大学, 情報データ科学部, 准教授 (90782045)
住田 吉慶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (50456654)
佐々木 宗輝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10706336) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 慢性疾患 / Osteomacs / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
国民病ともいわれる歯周疾患やインプラント周囲炎,ならびに薬剤の副作用のひとつである薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)などは,いずれも口腔における慢性・難治性の硬軟組織疾患で細菌感染が主原因と考えられているが,なぜ慢性・難治性化するのかは分からないことに起因して確定的治療法や予防法は存在しない.本研究の目的は,骨性マクロファージであるOsteomacsと骨髄細胞から骨配向化異常に着目して骨質制御機構を解明し,口腔疾患の慢性・難治性化機構を明らかにすることである.当該年度は,研究分担者によるマクロファージ遺伝子改変マウスの作製後における改良のためのストラテジーを構築するとともに,ビスホスホネート製剤関連顎骨壊死(BRONJ)様病変悪化モデルマウスを作製することができた.すなわち,クロドロン酸内包リポソームを投与することで,ほとんどすべてのマクロファージを一時的に消失させた後に病態解析を行った.その結果,BRONJ様病変部は硬組織も軟組織も治癒が著しく悪化していた.具体的には軟組織の血管とリンパ管形成抑制に加え,炎症性細胞の著しい浸潤が起こっていた.さらにマクロファージに着目すると,創部マクロファージの分布は有意に減少しており,その中では,M1マクロファージの有意な増大とM2マクロファージの有意な減少から,サブタイプの極性が大きく変化していた.また,Osteomacsにも大きな変化が認められるとともに,硬組織の配向性は有意に乱れることが明らかとなった.また,インプラント周囲炎モデルラットやMRONJレスキューモデルマウスの一部作成を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は一定の研究成果が出たものの,大学の異動が決定して異動のために移管しなければならない実験設備等の準備等に時間が割かれたことから,(3)やや遅れている,とした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については,当該年度でできなかった,インプラント周囲炎モデルラットと歯周病モデルマウスにもクロドロン酸内包リポソームを投与してマクロファージを一時的に枯渇させて周囲炎様病変と歯周疾患が悪化することを証明し,病変部の病態解析と骨質解析(X線回折装置)や複屈折システム応用半自動装置を使用)に加え,1細胞解析を行って,いずれの疾患においても直接的または間接的に,マクロファージが治癒にとって必要不可欠であることを証明するとともに,Osteomacsを含めた免疫細胞の階層構造を探索する.また,作製されたマクロファージ遺伝子改変マウスをさらに修飾してOsteomacs欠損マウスを完成させ,これを用いて各種口腔病変モデルとそのレスキューマウスを作製し,組織形態学解析,免疫組織化学的解析,硬組織の配向性解析,1細胞解析などから,Osteomacsの組織内分布動態とこれに関わる可能性がある骨髄幹細胞との関連性を検索する.以上から,Osteomacsに依存して骨髄幹細胞の骨芽細胞への分化阻害が継続する結果として骨質劣化が長期化し,病変部の悪化(=慢性化)が惹起されるという経路が3つ以上のモデルマウスに共通していることへの解明にチャレンジする.
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Causes of Carryover |
当該研究機関から北海道大学への異動手続き等のため,研究代表者により研究実行時間が削減されたことが,次年度使用額が生じた理由である.研究代表者は2024年4月1日より北海道大学へ異動するが,異動先では本研究課題を達成するために必要な研究機器等が整備されていないものがあるため,次年度使用額については,オートクレーブや製氷機などを購入するとともに,野生型マウス,実験に必要な生化学的試薬,抗体,プライマー,組織染色のための試薬などを早急に購入して,遅滞なく実験を再開する計画を立てている.
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