2023 Fiscal Year Research-status Report
心臓突然死における冠動脈狭窄の無い急性心筋梗塞の法医学的診断法の構築
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23K18392
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
田中 篤 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50458072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野坂 みずほ 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00244731)
石上 安希子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60359916)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | MINOCA / 突然死 / 剖検 / 光干渉断層法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、細口径光干渉断層法プローベ及びその法医学的実施手法の開発により血管内光学的剖検法を確立し、それを従来の法医学的手法に加える事で、心臓突然死(SCD)における冠動脈に狭窄を伴わない急性心筋梗塞(Myocardial Infarction with Non-Obstructive Coronary Artery disease: MINOCA)とMINOCAの関与や発生機序明らかにし、またその法医学的診断法を構築することである。 令和5年に予定されていたのは、MINOCAにおける冠動脈微小血栓の関与の検討である。循環器内科において、200例の冠動脈疾患患者において、光干渉断層法を用い冠動脈内の微小血栓を探索した。血液検査および冠動脈造影により確定診断されたMINOCAの8.5%の症例に、動脈硬化や解離等の病変がないにも関わらず、冠動脈壁に血栓の付着を認めた。この結果は通常の病理診断の標本作製プロセスで、消失もしくは標本作成エラーとして考えられていた冠動脈内微少血栓が、MINOCAの発症に関与していることを強く示唆するもでの、本研究の作業仮説の裏付けとなった。 また、血管内光学的剖検法用プローベ及び実施手技の開発を開始した。剖検においては動脈内腔が虚脱しており、臨床例のように大腿動脈や橈骨動脈から長い距離を逆行性に辿り血管内用光干渉断層法プローベを冠動脈に挿入することは不可能である。そのため直径1mm以下の親水性コーティングを施した細口径プローベを開発し、X線透視下に内頚動脈から短距離かつ直線上に冠動脈にアプローチし、光干渉断層法プローベを冠動脈に挿入するという血管内光学的剖検法特有の手技開発が必要である。現在外径0.9mmの細口径光干渉断層法プローベを試作し、ブタ摘出心で画像品質チェックを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究の作業仮説をサポートする、ヒトデータの取得に成功した。またその頻度も判明した。 現在、剖検用光干渉断層法プローべを試作中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り直径1mm以下の親水性コーティングを施した細口径光干渉断層法プローベを用い、X線透視下に内頚動脈から短距離かつ直線上に冠動脈にアプローチし、光干渉断層法プローベを冠動脈に挿入するという血管内光学的剖検法特有の手技を開発する予定である。また心臓突然死(SCD)におけるMINOCAの頻度、特徴および発生機序を剖検例を用い明らかにする予定である。また微小血栓付着冠動脈壁の組織診断および免疫病理学的検討を行い、微小血栓形成の機序を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
令和5-6年にかけプローベ開発を行う研究計画であった。なかでもブタ摘出心を用いた開発に経費の大半が必要である。開発の都合上、当補正輪5年に予定していたブタ摘出心使用が、令和6年度になったため経費に差額が生じた。
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