2023 Fiscal Year Research-status Report
SLE初期診断用の標準好中球の樹立と鍵分子BAFF発現様式の解析にもとづく阻害剤探索
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23K18395
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
吉田 安宏 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10309958)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 全身性エリテマトーデス(SLE) / BAFF / Ⅰ型IFN |
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫疾患の一つである全身性エリテマトーデス(SLE)には、幾つかの有効な治療薬が存在するものの、根治のための治療薬が未だ開発されていないのが現状である。これは原因分子である自己抗原が、どのように、どこから提供されるかが未だ解明されていないのが要因の一つである。申請者のグループでは好中球に焦点を当てた研究を行ってきた。好中球はその性質から内容物を外に出しながら、しぶとく病原体などと戦う手法をとる。その放出する内容物こそが真の自己抗原候補ではないか、と考えたわけである。一言で好中球といっても非常にヘテロな集団なので、どのような好中球サブセットが自己抗原のソースなのか(好中球が壊れる現象NETsを形成しやすいのか)さえ、定かではない。そこで、先ずはヒト細胞株、動物モデル、患者由来細胞の情報をすり合わせ、SLEを引き起こすリアル好中球集団(スーパーサブセット)を同定することを第一目標とした。 初年度は、申請者が取り組んできたヒト細胞株から好中球に分化させることができるHL-60を有効利用し、リアル好中球集団(スーパーサブセット)を検討した。標的とした分子は、BAFFである。これはB細胞を活性化させる機能を持つ分子で、先ずはこの分子を発現するサブセットが候補ではないか、と考えた。そこで未分化HL-60細胞を種々のサイトカイン(20種)で刺激し、BAFF発現誘導能をフローサイトメトリー法で評価した。最も誘導能が高いサイトカインとして、Ⅰ型IFNが確認された。このサイトカインは、pDCなどから産生され、感染免疫などで非常に重要なはたらきをする。さらに、分化誘導ができる刺激物質との共刺激下でBAFFの発現を解析したところ、その発現を減弱させる傾向があった。このことは、分化とBAFF産生が逆方向の細胞偏向にあることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リアル好中球集団を発見するために、その指標としてBAFFを用いた。その発現機構は種々のサイトカインで誘導能に差があることがわかり、次のステップにつながる結果を得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
分化誘導と、BAFF発現誘導の方向性が逆の現象であることが示唆されているので、その点をさらに詳細に検討していく計画である。また、転写レベルでの解析も行うため、qPCR法による発現の解析を行う。
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Causes of Carryover |
萌芽の特性もあり、予算示達は年度中盤以降であった。そのため、前半期で揃える試薬などは既に他の資金で調達したものもあったため。
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