2023 Fiscal Year Research-status Report
Oxygen paradox and skeletal muscle remodeling based on muscle tissue oxygen levels
Project/Area Number |
23K18417
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
狩野 豊 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90293133)
|
Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | 酸素センシング / 酸素分圧 / 活性酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,「酸素環境の変化は骨格筋に何をもたらすのか」という問いを出発点として,「より安全でさらに効果的な骨格筋適応を導く酸素環境の利用法」という社会的なニーズに応えることを最終的な目的としている. そのために,骨格筋細胞の酸素環境レベル変動をモニタリング(基準化)した上で,その動態に対する酸素感知分子応答(酸素センシング),骨格筋の筋力・持久力適応(リモデリング),活性酸素種応答(酸化ストレス)を評価する実験(小動物)モデルを構築し,これらの応答を解明する. 現在までに,酸素環境(低圧・低酸素ならびに高圧・高酸素)の変化に対する安静時の筋組織内酸素(分圧)レベル動態を定量化するモデルを酸素クエンチング法を基盤として構築することに成功した.さらに,マウスを対象に阻血や高酸素状態での評価を進めている.また,活性酸素種(ここでは過酸化水素)の動態にも着手することができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は,酸素環境(低圧・低酸素から高圧・高酸素)の変化に対する安静時の筋細胞酸素(分圧)レベル動態を定量化することを試みた.実験には,マウス(C57BL/6J)およびラット(Wistar) を用いた.酸素分圧測定(酸素クエンチング法)は,毛細血管内の酸素プローブ(R2プローブ)ならびに細胞間質内の酸素プローブ(G4プローブ)を利用した.これらのプローブを血管カテーテルと組織マイクロインジェクションによってin vivo骨格筋細胞に導入し,異なる2波長の励起光を制御することによって,酸素レベルを定量するモデルを構築した.さらに,活性酸素種の1つである過酸化水素の評価をin vivoモデルで作成し,酸素分圧レベルとの対応関係を調べた.
|
Strategy for Future Research Activity |
R5年度に構築した酸素分圧評価モデルと過酸化水素評価モデルを組み合わせて,骨格筋細胞の酸素環境レベル変動をモニタリング(基準化)した上で,その動態に対する活性酸素種応答(酸化ストレス)を評価する予定である.酸素環境:気圧(0.7 atm:標高3000mレベルから2.5 atm:高圧高酸素治療レベル)と酸素濃度(20から100%)の多様な組み合わせによる環境モデルでの実験を予定している.
|
Causes of Carryover |
酸素分圧測定(酸素クエンチング法)は,毛細血管内の酸素プローブ(R2プローブ)ならびに細胞間質内の酸素プローブ(G4プローブ)を用いるが,令和5年度に実施したモデルの確立実験においては試薬の消費が少なかった.次年度は,定量的な解析をすすめるため,関連試薬の支出が増加することを見込んでいる.
|