2023 Fiscal Year Research-status Report
ヒト腸管における胆汁酸吸収実態の解明と新規トランスポーターの探索
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23K18428
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 彰子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任准教授 (90348144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 伸雄 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30777769)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 胆汁酸トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト小腸吸収モデル細胞であるヒト結腸癌由来Caco-2細胞を用いて胆汁酸取り込み機作を速度論的に解析した。Eadie-Hofsteeプロットの結果、Caco-2において既知の胆汁酸トランスポーターApical-dependent bile acid transporter(ASBT)以外のトランスポーターの存在が示唆された。 ASBTはナトリウム共輸送型のトランスポーターであることから、ナトリウム不含培地を用いて取り込み機作を解析したところ、ナトリウム非依存性でpH依存性を示すトランスポーターの存在が示唆された。次にASBTおよび候補トランスポーターの発現細胞を作成し、トランスポーター単独での輸送機作を解析した。速度論的解析により、候補トランスポーターはASBTと比較しKm値およびVmaxが高く、このことからASBTよりも輸送速度は低く輸送キャパシティは高いことが明らかとなった。次に研究分担者である佐々木が有するヒト十二指腸組織およびヒト十二指腸オルガノイドのシングルセルRNA-seqデータおよびbulk RNA-seqデータを利用して、ASBTおよびこれら候補トランスポーターのヒト腸管上皮における発現パターンを解析した。またRT-qPCRおよびウエスタンブロッティングによりCaco-2細胞および佐々木が有するヒト十二指腸、回腸、および大腸オルガノイドにおける候補トランスポーターの発現量を測定し、候補として2種のトランスポーターを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としているCaco-2細胞での胆汁酸取り込み機作を詳細に解析し、複数のトランスポーターの関与を見出し、既知の胆汁酸トランスポーターであるASBT以外の候補となるトランスポーターを2種見出すことが出来た。また研究分担者(佐々木)と共にシングルセル解析データを用いて、ヒト消化管における発現パターンの解析を実施することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
実際に候補トランスポーターがCaco-2細胞で機能しているかを確認するため、CRISPR/Cas9 法を利用し候補遺伝子の機能欠損株を作製する。またヒトと齧歯類においてこれらトランスポーターの発現パターンが異なることが示唆されたことから、マウス消化管における発現量をRT-qPCRおよびウエスタンブロッティングにて評価し、ヒトのデータと比較する。
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Causes of Carryover |
次年度に予定しているCRISPR/Cas9にかかる試薬代が大きいため、次年度に繰り越しをした。
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