2023 Fiscal Year Research-status Report
Synaptic mechanisms governing brain reserve
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23K18449
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
實木 亨 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (10546675)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 脳損傷 / シナプス可塑性 / CALI法 |
Outline of Annual Research Achievements |
多様な経験をした人の脳はアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患や外傷性の脳損傷における機能の低下の影響を受けにくいことが知られている。しかしながら、このような脳予備能と呼ばれる性質についての細胞生物学的実体は明らかではなく、脳内でどのような変化が起こり予備能を発揮しているのか不明である。申請者は本研究計画において、事前の運動経験により機能障害を代償する脳領域において形成されるシナプスをイメージングし、当該シナプスを光依存的シナプス機能操作技術により操作することでシナプス可塑性の脳予備能における役割を解明することを目的とする。 本年度において、事前の多様な運動経験として位置付けられるローターロッド課題、バランスビーム課題、前肢のリーチング課題といった行動タスクについて立ち上がりつつある。多様な運動経験により増加したシナプスの機能回復促進における役割を明らかにするため、光照射によるシナプス機能阻害を行う必要がある。その機能阻害法として光照射依存的に標的分子を不活性化するCALI法(Chromophore-assisted light inactivation) を適用し、シナプス機能を担う分子であるAMPA受容体のサブユニットGluA1とGluA2/3について動物個体レベルにおいても分子機能阻害が成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光照射依存的な分子機能不活化法であるCALI法を用いて、動物個体においてGluA1/1やGluA2/3といったAMPA受容体サブユニットを特異的に機能阻害する手法を確立できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
事前の多様な運動経験として位置付けられる行動タスクを経験させた動物個体に脳損傷を施し、運動機能の回復の程度を観察する。その後回復の程度に応じてみられるシナプスの変化を損傷周囲等で観察する。シナプスの変化が見られた領域においてCALI法を適用する。
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Causes of Carryover |
当該年度は研究が順調に進展し、当初計画していた一部の行動実験やCALI実験を実施する必要が無くなったため、次年度使用額が発生した。現在得られている研究成果の公表にかかる費用や、更なる実験進展に必要となる物品の購入といった研究進展に有効な使途を計画している。
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Research Products
(3 results)