2023 Fiscal Year Research-status Report
Creating a high-level quantum programming environment that hides the principles of quantum mechanics
Project/Area Number |
23K18464
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊野 文彦 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (90346172)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
置田 真生 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 准教授 (50563988)
|
Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
Keywords | 量子計算 / ドメイン特化ライブラリ / 高水準プログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ゲート型量子計算機において標準となるプログラム方法論を探求することである.そのために,古典プログラムにおいて蓄積されてきたソフトウェア工学の抽象化技術や構造化技術を応用し,量子力学の原理を隠蔽できる量子プログラミング環境を創出することを試みる.このプログラミング方法論を高水準プログラム記述系やドメイン特化ライブラリとともに展開する.さらに,古典プログラムから量子プログラムへの変換技術を探求することで,組合せ爆発に陥る大規模問題の解決に向けて,量子計算パラダイムによる実応用を目指す.令和5年度は低水準レベルの最適化に関して以下の課題に取り組んだ. まず,量子回路に最適化手法を施す場合に,古典計算機における最適化そのものに要する時間を含めて量子回路シミュレーション全体に要する時間を評価した.最適化手法として,冗長性を削除する手法,クリフォードゲートを単純化する手法,オイラー角分解による手法,KAK分解による手法およびパウリ演算子による手法を対象とした.結果,前者2つのみが有用であり,全体の実行時間を99%短縮できる例があることを確認した. 次に,状態ベクトルに基づく量子回路シミュレーションの並列化に取り組んだ.シミュレーション時のノード間通信を削減するための演算スケジューリング手法を,変分量子固有値法を対象として開発した.提案手法は,キャッシュ最適化手法の一つである時空間タイリングを応用し,計算粒度が増大するように演算順序を入れ替えることで通信回数を削減する.32台のGPUを用いた評価実験の結果,提案手法は量子回路シミュレーションを54倍に高速化できた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は高水準レベルでの開発から取り組むことを予定していたが,量子力学の原理を隠蔽するための準備として,低水準レベルにおいて量子回路シミュレーションに対する最適化手法の開発に取り組んだ.次年度以降の開発に寄与する成果が得られたため,進捗は計画通りである.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後,典型的な量子アルゴリズムを対象として,高水準なプログラム記述系やドメイン特化ライブラリによる量子プログラミング環境を実現していく.また,最適化手法に関する成果を国内外で発表し,他の研究者からの意見を反映していく予定である.
|
Causes of Carryover |
年度末の出張において旅行会社による値引きが事後発生したため. 翌年度の旅費として使用する.
|