2023 Fiscal Year Research-status Report
複数の伸縮性材料によるマルチモーダルな情報を用いたソフトロボットの空間知覚
Project/Area Number |
23K18484
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
田熊 隆史 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40437372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住岡 英信 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 石黒浩特別研究所, 主任研究員 (80636423)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | ソフトロボット / センシング / リザバーコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は震災後の瓦礫や建屋の天井裏/床下など狭所を移動する流体駆動ソフトロボットを対象に,複数のセンサをロボットに取り付けて,センサの値から移動中の自身の形状推定と周囲の形状の推定を行うものである.2023年度は研究初年度として,ソフトロボットの流体を溜めおくチャンバ内部の圧力を測定するセンサを取り付け,異なる形状の経路を移動した際の圧力の時系列データを用い,ニューラルネットワークの一種であるリザバーコンピューティングで学習させることで,少ないサンプル数で経路の形状推定が可能か調査した.その結果5種類(平地,狭いトンネル,広いトンネル,狭い行き止まり,広い行き止まり)の経路の形状が,それぞれ3周期分程度の少ない学習データにもかかわらず,高い確率で判別可能であることが分かった.また今回の経路形状推定に必要なリザバーコンピューティングのノード数を調査し,適切な個数があることを確認した.本研究の成果をまとめ,計測自動制御学会関西支部・システム制御情報学会シンポジウムで発表した.これとは別にもう一体,全身が柔軟なソフトロボットを作成し,自身の形状を受動的に変形させることで移動の効率が上昇することを確認した.この成果も計測自動制御学会関西支部・システム制御情報学会シンポジウムで発表した.またもう一体別のソフトロボットを作製し,導電性布と呼ばれる非接触で導体の有無を検出可能な布をロボットに貼付することで,移動方向にある障害物を非接触で検出し,それを避けて移動することが可能であることを示した.本研究の成果をまとめて,2024年度のシステム制御情報学会学術講演会で発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標は,複数の導電性布をセンサとしてロボットに貼付し,狭所を変形しながら移動するロボットの自身の形状推定と,経路のなかでロボットが接触しない部分の形状推定を行うものである.2023年度は研究初年度として,移動経路の形状推定のためにリザバーコンピューティングを取り入れ,ロボットが移動した経路の形状推定が可能か調査した.その結果,1種類のセンサの入力(移動中のロボット内部の圧力情報)から1カテゴリ(異なる形状の経路)の判別を適切に行えることを確認した.これにより,リザバーコンピューティングは本ソフトロボットでの学習に使用可能であることが分かった.また導電性布を用いることで非接触で障害物が検出可能であることも確認した.これらから,次年度以降の複数のセンサによる自身の形状推定および非接触による経路形状推定ができる可能性があることが示された.
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Strategy for Future Research Activity |
狭所を移動するソフトロボットが移動中の自身の形状と周囲の形状を同時に測定することで移動経路を推定するという最終目標の下,2023年度はリザバーコンピューティングを用いることで,1種類のセンサの入力(ロボット内部の圧力情報)から1カテゴリ(異なる形状の経路)の判別を適切に行えることを確認した.また導電性布を用いることで,非接触で障害物の検出が可能であることを確認した.次年度以降は複数箇所に導電性布を取り付け,これらからのセンサ情報から経路の形状だけでなく移動距離や傾斜角といった異なるカテゴリの物理量を推定可能か調査する.また導電性布を用いた非接触センシングも継続して行い,最終的にはこれらを組み合わせることで接触/非接触によるロボット自身の形状推定と周囲形状の推定を行って地図と自己位置を同時に行うSLAMを実現する.
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Causes of Carryover |
ロボットが経路を移動する際の,ロボットの位置や形状を計測するカメラシステムの購入を予定していたが,市販のカメラと廉価なソフトウェアにより粗い精度で計測可能であることが分かった.そのため,次年度以降に検証用の高精度な計測システムの購入を行うこととしし,次年度使用額が発生した.
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