2023 Fiscal Year Research-status Report
二次生成有機エアロゾルの起源の解明:HOMs直接検出法の開発
Project/Area Number |
23K18526
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
江波 進一 筑波大学, 数理物質系, 教授 (00589385)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | エアロゾル / HOM / ラジカル / 大気化学 / 環境 / 大気汚染 / 気候変動 / 過酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
大気中に浮遊するエアロゾルは、地球の気候変動と大気汚染問題の両面において鍵となる極めて重要な物質である。イソプレンやトルエンなどの揮発性有機化合物(VOC)の酸化反応によって生成する大気エアロゾルを、二次生成有機エアロゾル(SOA)と呼ぶ。その重要性にもかかわらず、どのようにSOAが生成するのか、そのメカニズムはよくわかっていない。近年の研究によって、HOMs (highly oxygenated organic molecules)と呼ばれる有機化合物が、SOAの生成に関与している可能性が指摘されている。 HOMsを生成する新規実験システムを構築し、世界で初めての直接検出に挑戦する。本年度は、新規反応チャンバー内で生成する気体のHOMsを、検出チャンバーにそのまま導入し、塩化ナトリウム(NaCl)を含む水のマイクロジェットで捕捉し、質量分析計でHOM-Cl-錯体として直接検出するための予備実験を行った。複数の官能基を持つヒドロペルオキシドをテルペン類の液相オゾン酸化で生成し、質量分析法で検出可能であることを確認した。特にゲラニオールの液相オゾン酸化で生成するヒドロペルオキシドの液中での分解速度定数を決定し、温度依存性を測定することに成功した。さらに活性化エネルギーの導出に成功した。本成果は現在論文にまとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国立環境研究所から筑波大学への装置の移動と立ち上げ、確認作業を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の官能基を持つヒドロペルオキシドをテルペン類の液相オゾン酸化で生成し、質量分析法で検出可能であることを既に確認している。今後は気相のヒドロペルオキシドを吹き付けて、同様の信号が得られるかどうかを確認する。気相におけるHOMs生成システムを確立する。
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Causes of Carryover |
試薬の一部が想定していたよりも安価で購入できたため。物品費(テフロンチューブなど消耗品)として使用する予定である。
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