2023 Fiscal Year Research-status Report
ミュゼオームと環境DNAに基づく「湖沼の散布体バンク50年問題」への挑戦
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23K18543
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂山 英俊 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (60391108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池谷 仁里 神戸大学, 理学研究科, 学術研究員 (30531579)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 淡水生態系 / 絶滅種/集団 / 散布体バンク / ミュゼオーム / 環境DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、絶滅以前の過去の証拠標本を中心としたゲノム解析(ミュゼオーム解析)から遺伝的情報を復元し、湖底堆積物に含まれる環境DNAを解析することによって、過去から現在に渡る種多様性を考慮した、散布体バンク(湖底堆積物中の種子や接合子の集団)の分布や内在する種組成を評価する手法を確立する。さらに採取した湖底堆積物中の散布体バンクの発芽試験を実施し、絶滅種/集団の再生に挑戦する。 本年度は、水生植物・藻類のDNAバーコーディング(DNA配列に基づき種を同定する手法)に用いるDNAバーコード領域の検討を行った。これまでに多くの種で調べられている葉緑体コードのrbcL遺伝子に加え、葉緑体コードのatpB遺伝子、psaB遺伝子、matK遺伝子、核コードのITS領域を候補とした。芦ノ湖の過去から現在に渡る水生植物・藻類の種多様性を考慮するため、標本と野外サンプルからDNAを抽出し、これらのDNAバーコード領域の配列情報を取得し、GenBank等のデータを含めた参照配列データの整備を進めた。また、古い証拠標本からのDNA抽出方法の検討、比較的短いDNA断片を増幅するPCR用プライマーのデザイン、DNAバーコーディングの精度の検証を行った。さらに、これまで淡水生態系において、藻類の希少種を対象とした環境DNA解析に関してほとんど報告がないため、室内で培養した藻類の水槽/培養瓶および水生植物・藻類が繁茂する野外から採取した環境DNA解析用サンプルからのDNA抽出方法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は証拠標本のDNAバーコーディングに関する条件検討を中心に実験を進め、成果の一部を論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に採取した環境DNA解析用サンプルの一部において解析が完了していない部分がある。今後は、藻類等の希少種を対象とした環境DNA解析用サンプルのDNAバーコーディングに関する実験系の確立および得られたデータの解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度に採取した環境DNA解析用サンプルの一部の解析が完了していないため、次年度にこれらのサンプルの解析に使用する計画である。
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[Journal Article] Taxonomy, new distribution, and DNA barcoding of the rare alga Chara altaica (Charales, Charophyceae) in Japan2024
Author(s)
Sakayama, H., Omori, Y., Nozaki, H., Kato, S., Kamiya, K. and Watanabe, M. M.
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Journal Title
Journal of Asia-Pacific Biodiversity
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed / Open Access
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