2023 Fiscal Year Research-status Report
骨粗鬆症の悪環境を逆手に取って治療するハニカム人工骨の開発
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23K18593
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 幸壱朗 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (80580886)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | DDS / 骨粗鬆症 / ハニカム / 顆粒 / バイオセラミックス |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的な高齢化に伴い、骨粗鬆症の患者が急増している(日本では1000万人以上)。骨粗鬆症になると、転倒やくしゃみといった僅かな衝撃でも骨折する。さらに、骨粗鬆症による骨折が原因で寝たきりになり、認知症にもつながる。骨粗鬆症の治療では、毎日や毎週の服薬を数年間継続する必要があり、患者の5割は、1年後には処方通りの服薬ができていない。このため、多くの患者において症状が改善せず、背骨や大腿骨の骨折や圧潰が繰り返し生じ、歩行困難や寝たきり、要介護となる。この問題を解決するために、本研究では、服薬を必要としない革新的治療を創出する新規材料の開発を目的とする。 本年度は、骨粗鬆症モデル動物の作製を行うことを計画していた。ウサギの卵巣摘出により、骨粗鬆症モデル動物を作製することを試みた。卵巣摘出後10カ月経過すると、血中エストロゲン濃度が低下することを確認した。また、卵巣摘出後10カ月のウサギは骨密度が低下していることをμCT解析により明らかにした。さらに、組織学的解析により、卵巣摘出後10カ月のウサギは骨量が正常ウサギに比べて少なく、骨小腔中に骨細胞が存在しない割合が高いことが明らかになった。以上のことから、卵巣摘出後10カ月のウサギは骨粗鬆症モデル動物として使用できることを確認した。 2023年度の研究により、動物実験の準備が整った。よって、2024年度は研究代表者が開発した材料の骨粗鬆症治療の有効性を評価することを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究を遂行できたため、概ね順調に研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は薬剤の担体となる炭酸アパタイトハニカム顆粒を作製する。この材料の物理化学的性質の評価を行う。さらに、炭酸アパタイトハニカム顆粒への薬剤担持方法の確立と担持量の定量を行う。また、炭酸アパタイトハニカム顆粒からの薬剤放出挙動を調査する。
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Causes of Carryover |
実験動物を購入する。また、実験動物を飼育する費用や動物実験で使用する消耗品にあてる。材料作製に必要な試薬や消耗品を購入する。
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