2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K18598
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大森 仁 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50771036)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 多値論理 / 非決定論的意味論 / 真矛盾主義 / 矛盾許容型論理 / 証明論的意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は以下の三つである。第一に、多値論理の意味論をあくまで古典論理の意味論と同じように二つの真理値、すなわち真及び偽の二つを基本とする立場に着目し、その観点に基づいてNon-deterministic semanticsの前提を明らかにすること。第二に、従来の哲学的話題に対する貢献の再検討に加えて、証明論的意味論や真矛盾主義などに関連する話題への貢献の可能性を明らかにすること。そして第三に、特に基本的な矛盾許容型論理として知られているLogic of Paradoxに着目し、これを矛盾許容型論理に基づくメタ理論の中で展開する立場に立った上で Non-deterministic semanticsを哲学的観点・技術的観点の両方から再検討すること、である。 本年度の研究においては、特に第一の目的と第二の目的における証明論的意味論への貢献とについて研究を進めた。 第一の目的に関してはHerzbergerによる意味論とJC BeallによるOff-topicに関連したKleeneの弱三値論理との関連に関する論文を手がかりに、Off-topicを考える際の一つの方針とNon-deterministic semanticsとの相性が良いことが明らかになった。 第二の目的における証明論的意味論への貢献については、論理結合子の一意性についてのSara Ayhanによる証明論的意味論の文脈を手掛かりに、従来とは異なる見方が可能であることが明らかになった。 さらに、これら二つの目的と関連のある結果として、ある体系に関して二種類のNon-deterministic semanticsが展開できるという既存の結果を踏まえて、証明論も二種類の意味論に対応するものを明らかになった。この結果によって古典的立場に立つ場合の前提をさらに考える契機が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間の制約上、第二の目的における真矛盾主義への貢献については研究を進めることができなかった。しかし研究実績の概要において述べたとおり、第一の目的と第二の目的における証明論的意味論への貢献とに関連した結果が得られたことは予期していなかった成果である。これらを踏まえ、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、第一の目的と第二の目的における証明論的意味論への貢献に関する結果の深化と論文の形での発表を目指すとともに、第二の目的における真矛盾主義への貢献と第三の目的に関する研究に集中的に取り組み、少なくともまとまった結果を得ること、時間が許せば論文の形での発表を目指すこととする。
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