2023 Fiscal Year Research-status Report
アントニオ・ネグリの理論構築の方法に関する思想史的・理論的研究
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23K18632
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Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
飯村 祥之 東日本国際大学, 経済経営学部, 講師 (60986206)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | アントニオ・ネグリ / オペライズモ / アウトノミーア / マリオ・トロンティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は『〈帝国〉』でその名を知られるようになったアントニオ・ネグリの理論的発展を研究することで、グローバル化した現代を論じていたた晩年の主題の多くが、イタリアという一国社会を論じていた1960-70年代の段階ですでにひな形として存在していたことを明らかにしてきた。初期の段階でそうした主題がどのような社会的文脈や問題意識から提出されたかを検討することは、彼の後期思想の射程や有効性を批判的に検討することにつながるだろう。 これまでに発表した成果は以下のとおりである。まず、①ネグリの思想的発展についての概論的論文(「あるコミュニストの遍歴」)では、各時代の主要著作を能う限り網羅的に取り上げて解題を行った。こうした主要著作の解題は、マイケル・ライアンのもの(『マルクスを超えるマルクス』へのあとがき)を類似の成果として挙げることができるが、著作を貫く主題系の変形・発展に焦点を当てた点で、本研究成果は新規な視点を提示したといえるだろう。加えて、②ネグリの「権力に先立つ抵抗」という概念へのマリオ・トロンティ(イタリアのマルクス主義、とりわけオペライズモと呼ばれる潮流の代表的理論家)の影響と、そこからの逸脱に焦点を当てて、その思想史的意義を論じる論文を佐藤嘉幸との共著で発表した。ここでは、ネグリがイタリアの思想的文脈の中でこの概念を自らのものとする過程だけでなく、フランス現代思想の影響を受ける中でこの概念をさらに発展させていった過程を明らかにした。また、③ネグリの政治経済の分析方法に固有の「傾向」という概念の意義を検討する口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で予定されていた海外調査は、学内業務等との兼ね合いのため、令和5年度内の実施は叶わなかった。しかし、本課題の採択前に入手していた資料をもとに研究を進め、その成果を論文2報に加え、筑波大学・パリ第8大学の共催シンポジウムでの口頭発表(英語による)にて発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
口頭発表と論文を通じて、研究成果を社会に還元する予定である。
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Causes of Carryover |
実施予定だった海外調査が学内業務等との兼ね合いのため実施できず、旅費が次年度に繰り越しとなった。海外調査は本年度に一括して実施する(昨年度分も合わせて資料調査に必要な日数を確保する)予定であり、そのうえで残金となる分については返納の予定である。
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