2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K18709
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
大島 佳代 奈良女子大学, 大学院人間文化総合科学研究科, 博士研究員 (50985596)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 東北史 / 鎌倉幕府 / 内乱史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、鎌倉幕府による奥羽支配の根拠とされてきた「奥州羽州地下管領」および、鎌倉期における同地方の政治史的諸論点(奥州惣奉行・国守と知行国主・郡地頭職等)を再検討し、さらに鎌倉末期に蜂起した津軽安藤氏の政治的基盤を復元することで、幕府による直轄的支配がなされたことで知られている奥羽地域の戦後体制の形成過程および、それらに全国的内乱が及ぼした影響を明らかにすることを目標としている。 2023年度は、研究実施計画を踏まえて、「奥州羽州地下管領」や陸奥国の国守と知行国主、陸奥国津軽地域の領有関係にかかわる史料を収集し、また「奥州羽州地下管領」に関する先行研究を整理して、改めてその成果・課題・展望を整理した。その成果として、大阪歴史学会2023年度大会および中世文化史研究会において、「中世前期における全国的内乱と奥羽地方」と題して報告を行なった。右の報告は論文「中世前期における全国的内乱と奥羽地方」として発表し、さらに大会報告でとりあげられなかった問題については、「平安末期から鎌倉期の陸奥国における知行国主・国守と人々の去来」と題した論文で発表した。上記の諸論文は、「奥州羽州地下管領」について内乱期の公武関係や国政状況を踏まえつつ再検討した上で、奥州惣奉行・国守と知行国主・郡地頭職等といった戦後体制の形成過程を再考したもので、北関東をはじめとする他地域の諸勢力と安藤氏との関係性にも論及した。2024年度は、上記論文の成果を前提に、研究を進めることにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連史料の収集については、おおむね予定どおり順調に行うことができ、あわせてそれらの読解も進めることができた。 2024年度も、引き続き史料収集・整理を進めるとともに、学会報告や論文執筆により研究成果の公開につとめたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024度には、上記した前年度の研究成果を踏まえつつ、さらに史料収集・整理を進め、平安末期~南北朝期までを見通した総括的な研究を行っていく予定である。特に、京・鎌倉・北関東と奥羽地域の諸勢力の広域的な関係について、関連史料の収集と分析につとめたい。 また、あわせて研究成果の公開にも努力する。2023年度と同様に、学会報告や学術雑誌への投稿を目指し、研究成果をより広く公開できればと考えている。
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Causes of Carryover |
初年度に購入する予定であった図書が一部入手できなかったため、物品費を一部次年度に繰り越ししている。また初年度は調査を実施しなかったので、調査旅費および調査時の複写費は計上しなかった。
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