2023 Fiscal Year Research-status Report
The Cause of Opposition Party Fragmentation in Contemporary Japan : Focusing on the Influence of the Upper House Members in Democratic Party of Japan
Project/Area Number |
23K18756
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高宮 秀典 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 特任研究員 (80955401)
|
Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
Keywords | 参議院民主党 / 野党多弱 / 労働組合 / 日本維新の会 / 希望の党 / ポピュリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は民主党 (民進党) や日本維新の会の (元) 国会議員,連合関係者など10人に聞き取り調査を実施した。これまで主に新聞から情報を集めていたが,当事者へのインタビューによって,参議院民主党が野党多弱の枢要なアクターであることが確認できた。代表選の際には労組関連票を盾に協力を引き出せることなど,参院の生々しい権力資源の実態について知ることができた。特に左派を排除したとされる希望の党結党メンバーへの聞き取りから,参院権力の重要性を確認できたことは大きな収穫と言える。 また,政局的な話だけでなく,衆参での選挙運動形態の違いや労組動員の実態など,様々な関連テーマについて話を伺うことができた。さらに,労組の地方支部に訪問した際には組合員の方と交流することができ,現場の空気感など,座学では知り得ない情報に触れることができた。出張先で交流した労組や人権団体は,これまで取り組んできた参議院自民党の研究では関わることのなかった集団であり,新たに「異文化」体験をできて勉強になった。 そして博士論文にこれらの調査で得られた情報を追加し,東大法学部の政治理論研究会で報告を行った (質疑応答含め3時間) 。10年間取り組んできた研究をまとめて発表した初の場であり,どのような全体像が描けているか,諸先生方・先輩方の反応を知ることができる良い機会となった。現在は博士論文を公刊するために最後の修正作業を行っているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍から間もない時期だったこともあり聞き取り調査に応じていただけるか不安であったが,結果的にほぼ全ての方にご協力いただけた。2024年4月から拓殖大学政経学部助教に就任したため,本年度は授業準備に追われているが,夏休みに入り次第,博論本の最終稿に取り掛かりたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
博論本が2024年度中に東京大学出版会から公刊予定であり,今後はその完成を目指したい。文章の推敲だけでなく,資料を集め直したり,追加の統計分析をしたりする必要があるため,夏休みはその作業に取り組む予定である。また,本研究課題と関連して,「ポピュリズム」と参議院の関係に関する原稿を依頼されており,そちらの執筆も進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額は1000円未満であり,無理して書籍などを購入することもできたが,翌年度に本当に必要なものを買った方が効率的だと考え翌年度分として請求した。今年は博論完成に向けて急遽研究書が必要になると見込まれるため,その購入費に充てたいと考えている。
|