2023 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Analysis of Efficiency in the Credence Goods Market: Insights from the Charitable Giving Market
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23K18778
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
加藤 大貴 一橋大学, 社会科学高等研究院, 特任助教 (40979332)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 寄付 / 情報の非対称性 / 実験室実験 / 実証分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は寄付者と慈善団体の間の情報の非対称性(格差)が寄付行動と慈善団体の被支援者の厚生に与える影響を検証することを目的としている。寄付者の意思決定と被支援者の厚生を定量的に把握できるので、本研究はラボ実験を実施する。実験の参加者は寄付行動を測定する典型的な独裁者ゲームに寄付市場の情報の非対称性という特徴を組み込んだ独自のゲームをプレイする。具体的には、寄付者・慈善団体・被支援者の役割を持った参加者が三人一組で行うゲームである。寄付者と慈善団体が自身の資産の一部を他の人に分け与える意思決定を順番に行い、三人の最終的な利得の配分が決まる。2023年度の主な研究実績は以下の通りである。
2023年度は情報の非対称性の有無(慈善団体が先に寄付するかどうか)が市場パフォーマンスに与える影響を検証した予備実験(実験1)の結果をまとめ、行動経済学会の年次大会で報告し、同大会のプロシーディングスとして公開した。
さらに、予備実験で出てきた課題を解消したうえで、本実験を実施した。具体的には、予備実験の問題点は二つあった。第一に、情報の非対称性以外の交絡要因(意思決定の順番)が生じていることである。第二に、メカニズム(特に、寄付者が慈善団体の行動をどのように予測して、意思決定をしているのか)の検証が十分に出来ないことである。本実験はこれらの問題点を解消している。実験の結果、情報の非対称性は被支援者の厚生を下げてしまい、慈善団体が事前に行動計画を提示しても被支援者の厚生は改善しないことが明らかになった。この結果はディスカッションペーパーとしてまとめ、公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調査で2023年度に予定していた実験をすべて終えたからである。
研究計画調査で2023年度に予定していた実験は二つである。第一に、情報の非対称性の有無が市場パフォーマンスに与える影響を検討する実験である。これは行動経済学会の年次大会で報告し、同大会のプロシーディングスとして公開している。第二に、第一の実験で問題となった交絡因子を取り除き、寄付者が慈善団体の活動を推測するタスクを含めた本実験である。これは2023年度に実施し、ディスカッションペーパーとして公開した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策は二つある。第一に、2023年度に公開したディスカッションペーパーを国際学会やセミナーで報告し、査読付き国際雑誌への投稿を目指す。第二に、研究計画調査で予定していた残りの実験を行う。この実験は慈善団体が自身の生産性に関する私的情報を寄付者に公開することで、寄付市場がより効率的になるかを検証する。そして、この実験結果をディスカッションペーパーとしてまとめることを目指す。
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Remarks |
これはディスカッションペーパーのショートタイトルである。正式なタイトルは"Charity Fraud: An Experimental Study Of The Moral Hazard Problem In The Charity Market"である。
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Research Products
(3 results)